回転寿司の店舗で必ず使われている国産機械がある。自動で「シャリ玉」を作る機械だ。東京都中野区に本社を構える機械メーカー・鈴茂器工が1981年に生み出し、今ではシェア8割を握っている。だが、開発当初の試作機は寿司職人から「団子みたいで、寿司じゃない」と酷評されたという。それがなぜ、回転寿司に欠かせない存在になったのか。鈴茂器工の谷口徹社長(57)にフリージャーナリストの前屋毅さんが聞いた――。(前編)
シェア8割、売上高158億円で過去最高
回転寿司やスーパーマーケットのテイクアウト寿司で欠かせない存在となっているのが、「寿司ロボット」である。その寿司ロボット市場で8割という圧倒的シェアを誇るのが、鈴茂器工だ。
鈴茂器工は主要顧客を「5大100円回転寿司」と公表しており、これは一般的に「スシロー、はま寿司、くら寿司、かっぱ寿司、魚べい」の5つを指すものだ。つまり、主要な回転寿司チェーンは、すべて鈴茂器工の寿司ロボットを使っていることになる。
国内だけでなく、海外にも広く展開していて、進出している国の数は90カ所以上にもなっている。決算も好調で、2025年3月期決算で155億6800万円と過去最高となる売上高を記録し、さらに2026年3月期では158億6400万円と過去最高を更新している。
寿司ロボットを開発したのは同社の創業者である鈴木喜作氏(故人)だ。同社は1961年に製菓機械メーカーとしてスタートしたが、寿司ロボットの会社に生まれ変わった。
寿司ロボットの第1号を世に送り出したのは、1981年のことだったという。
「創業者は寿司ロボットを開発しましたが、ただ機械だけを売ろうとしたわけではありません。寿司ロボットは米飯食文化を拡大するための“手段”と考えていました。寿司ロボットで寿司を大衆化し、米飯食文化の拡大につなげようとしたのです」というのは、鈴茂器工の谷口徹社長(57)だ。
彼は鈴茂器工のプロパー社員ではなく、証券会社でビジネスマン人生をスタートさせ、外資系企業、流通のパルコの再建、さらに企業再生支援会社を経て、2015年4月に入社し、2025年に社長に就任している。かといって、再建のために入社したわけではない。鈴茂器工の好業績は創業以来、ずっと続いている。

