「寿司ロボットを売ること」が目的ではない

「このときの中期経営計画のビジョンをひと言でいうなら『原点進化』です。創業者の理念に立ち返り、そこから進化させていくということです」と、谷口社長。

創業者の理念とは、米飯食文化を広めることだった。そのための手段が寿司ロボットだったのだが、原点に戻るなら、寿司ロボットを売ることを優先するより、米飯食文化そのものを拡大することを優先すべきだということである。

「そして5カ年の中期経営計画『Growth2025』を2019年11月に発表し、自前主義を脱して外部の良いところも取り込んでお客様の事業を強化するために多面的な価値を提供するという方針になりました」

ひとつの具体例が、2021年に鈴茂器工が買収し、2025年には吸収合併した日本システムプロジェクトという会社である。ここが持っているセルフオーダーシステム「SEMOOR」を中心としてソリューションの幅を広げ、回転寿司をはじめとした店舗のオペレーション改善を狙っているという。

例えば、従来のコンベアにのって回ってくる寿司の皿をジッと待つのではなく、テーブルに置かれた端末から注文すれば、注文した寿司がコンベアで運ばれてくるスタイルが普及している。好みの皿が回ってくるのを待つ必要もないし、つくりたてだから新鮮で衛生的でもある。それによって集客増が望めるので、店舗にとっても嬉しいし、米飯食文化の拡大にもつながるからだ。

寿司ロボットが「外食の風景」を変えた

自社で開発した機械に固執する自前主義ではなく、必要ならM&Aや他社との協業にも積極的に取り組むのが現在の鈴茂器工である。それによって米飯食を広げていく「原点進化」にとどまらず、「(創業理念の)進化と深化だ」とも谷口社長は語った。

鈴茂器工の本社で撮影に応じる谷口社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
鈴茂器工の本社で撮影に応じる谷口社長

「団子みたいで、寿司じゃない」と職人に酷評された寿司ロボットが、半世紀を経て寿司業界を支え、家族そろって回転寿司に出かける普通の風景を実現させた。創業者・鈴木喜作が大阪万博の年に思い描いた寿司の大衆化は、いまや回転寿司8000億円市場という形で現実のものとなったのだ。

創業者の理念は、谷口社長の「原点進化」を経て、いまも守られ続けている。寿司ロボットが、日本の食卓を支え続けているのだ。

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