ヤマダホールディングスとエディオンが、来年10月をめどに経営統合することで合意した。実現すれば売上規模2.5兆円の巨大家電量販グループが誕生する。フリーライターの宮武和多哉さんは「背景にあるのは、単なるECの台頭だけではない。ドンキやニトリなどの“シンプル家電”に客を奪われ、メーカーのリベートやヘルパーに頼る従来型の商売も限界を迎えている」という――。
記者会見を終え握手するヤマダHDの山田昇会長(左)とエディオンの久保允誉会長
写真=共同通信社
記者会見を終え握手するヤマダHDの山田昇会長(左)とエディオンの久保允誉会長。両社の経営統合により、家電量販店2位のノジマを大きく引き離す圧倒的な巨大連合が誕生する=2026年6月5日、東京都千代田区

「2.5兆円」巨大統合の衝撃

「ヤマダ電機」と「エディオン」が、来年10月を目途とする経営統合に合意した。実現すれば、2位以下は売上1兆円を越えないこの業界で、いきなり2.5兆円の巨大家電量販店が誕生することになる。

両者は業界のビッグネームが率いる両巨頭でもあり、いまも勢力拡大を競うライバル同士だ。競争の消滅で「家電を安く購入できなくなるのでは?」と思わせる「一強爆誕」な統合は、なぜ実現しようとしているのか。

「ネット通販・ECに押されているのでは?」と考えられがちで、実際に実店舗は押されている。それ以前に「家電量販店に行けば、良い品が安く買える」という常識が覆りつつある。

もはや家電量販の業界内で争っている状況ではない。

「家電量販店離れ」が加速している

ヤマダ・エディオンなどが実店舗を維持していくうえで、誰もが認めるライバルは「EC(ネット販売)」だ。もはや、「家電を買うなら家電量販店へ」という常識が崩れつつある。

インターネット調査機関「マイボイスコム」によると、家電の購入先は「店頭:68.6%」「家電量販店や家電メーカー以外のオンラインショップ(Amazon、楽天市場など):36.0%」「家電量販店のオンラインショップ・通販サイト」:24.3%だといい、合算すると、実店舗68.6%:EC・ネット販売60.3%と、ほぼ半々の比率となる。(複数回答可能)

【図表1】Q.どのくらいの頻度で、家電量販店を利用しますか?
マイボイスコム調べ(プレスリリースより)

2社ともよく「売場も通路もガラガラ」「客より店員の方が多い」とも言われるが、これも真実に近い。マイボイスコムが実施したアンケートの別の設問によると、家電量販店を「週に1回利用」するユーザーは、14年間で4分の1に激減(12.5%→3%)し、かわって「年に1回以下」が同期間で3倍(8.9%→28.1%)に増加している。ネットで価格・口コミをリサーチの上で購入に至るような若年層を中心に「家電量販店離れ」が起きつつあるのだ。

特にヤマダは、他社よりネット販売の比率が低いこともあってか、2014年度には1.9兆円近くもあった売上が2025年には1.6兆円に、10年前に500億円以上も取れていた営業利益は、2025年には160億円IR BANKより)(在庫処分などで240億円の特別損失あり)に落ち込んでいる。微減で踏みとどまっているようにも見えるが、ここ数年で売上3000億円・利益100億円規模まで倍増している住建(住宅・リフォームなど)と合わせた実績と考えると、やや寂しい数字だ。

このまま人口減少・少子化が続けば、地方を中心に家電量販店はオーバーストア化し、いずれ統合・整理の必要が生じるだろう。ここまでは、誰もが考え付く「ヤマダ・エディオン統合」理由の筋書きだ。