しかし、和光デンキは2003年に経営破綻。社内は以前からかなり混乱していたようで、民事再生法違反で社長が逮捕されるなどの混乱を生んだ。もしヤマダ側が、こういった内情を知って迅速に経営方針を転換したのであれば、残念ながら慧眼であったのだろう。
一方で2002年には、家電販売大手の業務提携による「ボイスネットワーク」(PC Watchより)が誕生。エイデン・デオデオ・上新電機(大阪府)3社の資本提携に、ミドリ電化・ベスト電器(福岡市)サンキュー(石川県)デンコードー(宮城県)も業務提携などの形で参加した。企業としてまとまれば、ヤマダの全国進出に対抗する組織に成長していたのかもしれない。
2007年の幻の巨大統合
しかし、ホビー販売などで独自の強みを持っていた上新は、早々に独立路線を選ぶ。さらにデオデオ・エイデンの経営統合で誕生したエディオンにミドリ電化が遅れて加わり、ベスト電器はヤマダとの、デンコードーは営業エリアが隣同士(東北と茨城県・北関東)にあるケーズとの連携を選んだ。ボイスネットワークは対・ヤマダ戦略として機能する前に、四方八方に散ってしまったといえるだろう。
その後、2007年に発表された「エディオン・ビックカメラ経営統合」を覚えている方も多いだろう。ヤマダと肩を並べる巨大チェーンの誕生に各方面が騒然としたものの、実際には発表2カ月で破談に至っている。しかし両社の再編への衝動はおさまらず、エディオンは秋葉原の名門・石丸電気(東京都)を、ビックカメラはコジマ・ソフマップをグループに取り込んだ。
こうして振り返ると、いまの家電再編の枠組みは、どこでどう変わっていても違和感がないものであった。再編と競争に押しつぶされて生き残れなかった、関東の「さくらや」「サトームセン」、東海の「アサヒドーカメラ」関西の「ニノミヤ」「和光デンキ」などとともに、記憶にとどめておきたい。
「2位、3位でいい」ノジマ戦略
では、ヤマダ・エディオン以外の家電量販店は、むしろどう生き残るのか? 実は、各社とも独自の戦略を立てて、家電業界の荒波を乗り切ろうとしている。
まず「ノジマ」は、家電メインの実店舗を240店舗程度にとどめるかわりに、携帯販売のキャリアショップを、M&Aによって急拡大させている。さらに、日立の家電事業をほぼ丸ごと買い取り、自社だけのプライベート・ブランド(PB)の発売をという「製販一体」を目指しているという。
こういった家電量販店以外への事業拡張によって、ノジマは2025年度の売上9828億円、営業利益580億円を計上し、エディオン・ヨドバシを抜いて業界2位に浮上している。利益率は5.9%で、2~3%で推移する他社より倍ほど高く、独自のルートで成長軌道に乗ったといえるだろう。
またノジマは、他社と違ってヘルパーを置かず、特定メーカーに偏らない売場づくりで、もとより顧客の信頼を得ている。近年ではビックカメラも「ヘルパーお断り」に方針転換しており、国内メーカーとのリベート・ヘルパー頼みであったほかの家電量販店とは、一線を隠しているといっていい。


