生涯未婚率は上昇を続けている。拓殖大学教授の佐藤一磨さんは「結婚に至らない背景には婚活市場で男女が互いに求める条件の高さがある。この理想が年齢とともにどう変化するかを追った分析結果から興味深い事実が浮かんできた」という――。
崩れたウェディングケーキの上に新郎新婦の人形
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なぜ日本では結婚が減少し続けるのか

「最近の若者は結婚したがらない」。

未婚化が話題になるたび、そんな説明が繰り返されます。確かに、日本では生涯未婚率が上昇し、2020年の国勢調査によると男性28.25%、女性17.81%で過去最高を更新しています。

かつて当たり前だった「結婚して家庭を持つ人生」は、もはや唯一の選択肢ではなくなりました。

ところが、データを見ると話は少し違います。出生動向基本調査によれば、独身男女のおよそ8割は今でも「いずれ結婚したい」と答えています。

つまり、日本人は結婚を諦めたわけではない。問題はむしろ逆です。

結婚したいのに、結婚できない。この奇妙な現象はなぜ起きているのでしょうか。

ここで、多くの人はこう考えるかもしれません。

「理想が高すぎるのではないか」。

年収は最低これくらい。学歴は自分以上。年齢差はここまで。見た目も妥協したくない。

婚活をめぐるネットの議論では、「高望み」が原因として語られることが少なくありません。

では、本当にそうなのでしょうか。年齢を重ねれば理想は下がるのでしょうか。条件を多く求める人ほど結婚できないのでしょうか。

この問いに真正面から挑んだのが、メリーランド大学人口研究センターのハラ・ユウコ研究員と、UCLAのウェイシン・ユー教授です(*1)。彼女たちは、東京大学が実施した全国追跡調査を用いて、約9000人分の未婚男女のデータを分析しました。

そして、そこで見えてきたのは、多くの人が想像している「婚活市場」とは少し違う現実でした。

「女性は年収を求め、男性は外見を求める」の先に

研究では、未婚男女が結婚相手を選ぶ際に、何を重視しているかを分析しています。対象となった条件は、「性格」「外見」「学歴」「年収」「年齢」。

結果は、ある意味では予想通りでした。

女性は男性より「年収」や「学歴」を重視していました。特に年収へのこだわりは強く、年収重視と答えた女性の約7割が、「自分よりかなり高い年収」を希望していました。

一方、男性は女性よりも外見を重視していました。学歴や収入への関心は相対的に低いものの、相手の見た目には厳しい目を向けていたのです。

ここまでは、多くの人が想像できる話かもしれません。しかし、本当に興味深いのはここからでした。

ハラ研究員らは、同じ人たちを長期間追跡し、「その条件が時間とともに変わるのか」を調べました。

すると――。男女で、まったく違う変化が起きていたのです。