年齢を重ねると、「理想」はどう変わるのか

一般にはこう考えられています。

若い頃は理想が高い。でも年齢を重ね、婚活が長引けば、少しずつ現実を見るようになる。

ところが、この予想は女性についてほとんど支持されませんでした。

女性は年齢を重ねても、相手に求める条件を大きく変えませんでした。もちろん「年収を重視する姿勢」も変化していなかったのです。

ここだけを見ると、「理想が高すぎるのではないか」と感じる人もいるかもしれません。

しかしハラ研究員らの解釈は逆でした。背景には、日本社会に残る結婚後の役割分担があります。

日本では依然として、家事や育児の負担が女性側に偏りやすい傾向があります。そうした環境では、女性にとって結婚は恋愛だけではなく、生活や将来設計にも直結する重要な選択になります。もし結婚によって負担が増えるなら、その代わりに経済的安定を求めるのは不自然な行動ではありません。

つまり、女性が収入条件を維持しているのは「贅沢」ではなく、現在の社会構造のなかでは「シビアな経済合理的な判断」とも解釈できるのです。

一方で、男性は少し違う動きを見せました。

年収が上がるほど、相手への条件も強くなる

男性では、相手に求める条件は女性より変化しやすい傾向が確認されました。特に興味深いのは、自分の条件が良くなるほど、相手への条件も強まることです。

ハートの交換
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

収入が増えた男性ほど外見を重視し、大卒男性ほど相手の年齢を重視する傾向が見られました。

言い換えれば、「自分の市場価値が高い」と感じる人ほど、より魅力的な相手を求めていたわけです。

これは日本だけの特殊な現象ではありません。海外研究でも、高収入や高い社会的地位を持つ男性ほど、若さや外見を重視する傾向が報告されています(*2)

一方で、その姿勢は永遠には続きません。

独身男性は40代後半以降になると、見た目へのこだわりを弱める傾向が確認されました。婚活市場での自分の立場を現実的に見直し、条件を調整していくのです。

つまり、男性は年齢とともに理想を動かす。女性は条件を維持する。

ここに、男女の婚活戦略の違いが表れていました。