「コンビニ弁当が高すぎる」そう感じるビジネスパーソンは少なくない。経済評論家の鈴木貴博さんは「その感覚は実に正しい。コンビニ商品にあたる『生鮮食品を除く食料』の値上がり率は、2023年以降の平均で年率6.2%。全体の2倍のペースで上がっている」という――。

セブンの成長が止まった日

新宿区百人町の昼過ぎ、歩道を埋め尽くす大量の語学留学生たちがセブン‐イレブンの前を素通りしていきます。昼休みの稼ぎどきにレジに配置された3人の店員は手持ちぶさたな様子です。

セブン‐イレブンの店舗
写真=iStock.com/egadolfo
※写真はイメージです

セブンの一人負けが起きているという記事が昨年2月のBEST記事に入りました。コンビニ3社の中でセブン‐イレブンだけが2023年9月頃から憑き物でもついたかのように売上の成長が止まりました。

実は客数ではコンビニ3社とも苦戦しています。インフレで生活防衛のためにコンビニを利用しない消費者が増えているのです。冒頭の語学留学生たちにとっても割高なコンビニ弁当はちょっと手を出しにくい様子です。

しかしファミマとローソンは逆境でも客単価を右肩上がりに増やしていきました。セブンだけが客単価は前年比100%のラインに貼り付いた形で上げることができず、結果として「一人負け」になってしまったのです。

その後、セブンはどうなったのか、今回、追跡記事を書きます。

「うれしい値!」という判断ミス

前回の記事で指摘したセブンの経営判断ミスとは、コンビニから消えた庶民を「うれしい値!」に代表されるコストカット商品で呼び戻そうとしたことです。しかし彼らは実質賃金が増えない限りはもう帰ってはきません。

その反対に、残された中流層以上の顧客に対してこれまで以上に「価値ある商品」を開発して提供しようとしたファミマとローソンが客単価だけは右肩あがりの業績をキープできたのです。

この記事が出た後、セブンも状況を再認識したようで、戦略の変更が行われました。先行するファミマ・ローソン同様に既存顧客の満足度を上げる方針を徹底したのです。行ったことはセブンプレミアムの強化、総菜や弁当のリニューアル、サンドイッチや麺類の品質改良です。

「なんだ同じことをしたのか?」

と思うかもしれませんが同質化は業界トップ企業の戦略です。同じことを徹底すれば二位、三位企業よりも効果が出ます。

その観点で最も話題を呼んだのは増量キャンペーンでした。セブンでは2025年5月に「お値段そのまま!人気商品増量祭」でハムとたまごのサンドやミックスピザパンなどが増量されました。

さらに今年の5月には増量祭をさらに拡大して「50%以上増量」を明確に打ち出します。これはローソンの「51%盛りすぎチャレンジ」、ファミマの「40%増量作戦」への対抗策として機能します。