歌手で俳優の美輪明宏さんが6月20日、老衰のため91歳で亡くなった。エッセイストの阿川佐和子さんは「インタビューをしたときに、美輪さんから言われて、ずっと頭に残っている言葉がある」という――。

本稿は、阿川佐和子『年とる力』(文春新書)抜粋の一部を再編集したものです。

美輪明宏
写真=共同通信社
美輪明宏(みわ・あきひろ)歌手、タレント、俳優、演出家、2014年12月1日撮影、東京・丸の内の東京会館

閉経後に訪れる人生最高の“モテ期”

最近お会いした美容ジャーナリストの齋藤薫さんは、「閉経からが、むしろ人生最高のモテ期である!」とおっしゃっています。モテ期かどうかはわからないけれど、閉経後のほうが、活力はみなぎり、好奇心が高まり、行動的になるとか。その理由は、齋藤さんに言わせると、こういうことです。

そもそも女性の身体には女性ホルモンだけでなく、男性ホルモンも少なからずある。だから閉経して女性ホルモンが減少すると、相対的に男性ホルモンの占める割合が増える。男性ホルモンが優位になると、より逞しく潔く、闘争心を発揮して前進しようという意欲がふつふつと湧いてくる。

まあ、言い換えれば恥をかくことを怖れず、強くふてぶてしく、何ものをも怖れぬ存在になりかねないということでもあります。

いっぽうで、更年期を迎えた男性陣は男性ホルモンが減少し、女性ホルモンが優位になる。たしかにね。だから歳を重ねた殿方の中には、なんだかオバサンみたいに顔がふっくらして、性格もおとなしくなっちゃう人がいるのかなあと、妙に納得した次第です。

でもここで気をつけなければいけないのが、女性がすっかり開き直って、本来大切にしていたはずの慎ましさや気遣いや「美しくあろう」という気持を忘れてしまうことだと齋藤さんはおっしゃいます。

美輪明宏さんに言われた「鮮烈な一言」

昔、同じようなことを美輪明宏さんに言われたことがありました。

「あなたたち女性は、女性であることにあぐらをかいて、努力を怠っているの!」

女性であれば、放っておいても美しいはずだと傲慢に構え、魅力的になろうという努力を何もせずにいたら、誰も相手にしてくれなくなりますよとおっしゃったのです。

当時、私は、できればお化粧をしたくない。肌の手入れなんて面倒くさい。若い頃からシワが多いけれど、まあ、シワの多い家系だからしかたないさ。お洒落な服は着たいけれど、そんなにセンスが良くないし、お金をかけるのは嫌だし、ことに「インタビュアー」という仕事は黒子的な存在だから、むしろ派手にせず、ごくシンプルなモノトーンの服を着ていたほうが、お相手に対して失礼にならないのだ。そういう考えで万事通しておりました。

そして美輪さんと対談をするためにご自宅へ伺ったときも、白いTシャツと黒いパンツ、上に黒いジャケットを羽織って参じました。