習慣を長続きさせるには、どうすればいいのか。飽きっぽい性格というエッセイストの阿川佐和子さんが、さまざまな賢人に出会い、その秘訣を探った。阿川さんの新著『年とる力』(文春新書)より、一部を紹介する――。
革ブリーフケース
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30年付き合いのある学者のすごい秘密

私には継続力がありません。新たな「身体にいいこと」を教えられた当初は、

「よし、これならずっと続けられそう」

と思うのですが、ふと気がつくとすっかり忘れていることだらけです。

発酵学者の小泉武夫さんとは、『週刊文春』の対談でお会いして以来、すでに30年近く仲良くさせていただいております。先生と一緒に発酵トークショーに参加したり、先生の講演の前座を務めたり、プライベートでもちょくちょくお会いします。

お会いするたび驚愕することがあります。というのも、この30年近く、いつお会いしても先生の身体から「加齢臭」を感じたことがないのです。

私は「お久しぶりです」とご挨拶をするついでに先生の身体に鼻を近づけて、クンクン匂いを嗅いでみるのですが、一度も臭かったことがない。どんなに暑い夏の日でも、先生の額に汗がにじみでていても、「クサッ」と思ったことは一度もありません。

「信じられないです! どうして?」

そう訊ねると、先生はいつも、

「毎日、納豆を食べているからだよ」

海外旅行にも「日数分の納豆」を持参

そう、小泉先生は納豆を1日たりとも欠かすことがないのです。たとえ海外旅行をするときでも、旅行の日数分の納豆を持ち歩き、パックを開けて箸でよく混ぜて、き込むのだそうです。

「納豆を食べ続けていれば、身体の新陳代謝が滞らない。加齢臭というのは加齢によって新陳代謝の力が落ちるから、老廃物が体内にたまって臭くなるのです。僕はもう80歳を過ぎたけど、臭くないでしょ。便秘もしない。納豆のおかげです!」

たしかに先生を拝見していると、まことに血色がよく、食欲も旺盛で、お腹はサンタクロースのようにふくらんではいるけれど、いかにも健康そう。よし、私も明日から毎日納豆を食べるぞ。

でも、その決意はだいたい数週間で揺らいでしまいます。納豆が嫌いなわけではないけれど、朝ご飯はだいたいパン食のため、納豆を食べるチャンスを逃す。では夜に食べよう。そう思ってはみたものの、食卓に納豆を並べると、他の料理の匂いがすべて納豆臭に負けてしまうので、つい出しそびれる。