阿川さんが辿り着いた「気まぐれ健康法」

「ダメじゃないかあ」

阿川佐和子『年とる力』(文春新書)
阿川佐和子『年とる力』(文春新書)

すみません。でもね、椅子がないところで実行すると、どうしてもうしろに転んじゃうんですよ。言い訳をすると、

「もう少し足を横に広げて、もっと手を前に出して、重心をうしろにおかないようにしてやってごらん。ほら、できた! 1日何十回もしなくていいよ。5回でもいいんだからね」

優しい鎌田先生は私をしきりに励ましてくださいます。もう裏切りません。今度こそ続けるぞ。そう心に期してウチへ帰り、少しずつ再開し始めているところです。もうすでに3カ月が過ぎましたが、痩せないのは、毎日やっていないからでしょうか。

毎日は実行せずとも、鎌田先生のささやかなヒントはしっかり頭に残っています。

頭の抽斗ひきだしに入れた小さなヒントをときどき思い出し、ときどき試してみるのが、私の気まぐれ健康法です。

腰を痛めたとき、スポーツジムのインストラクターから教えられたのは、

「背筋を伸ばして、おへそに力を入れて、天から釣られているような気持で歩いてごらんなさい」

長続きの秘訣は「いつでも、どこでも」

これはたしかに効果的です。道を歩いているとき、あるいは横断歩道で信号が青になるのを待つ間、その言葉を思い出して、姿勢を正してみるのです。

するとたちまち腰の痛みが和らぎます。ずっとおへそに力を入れていると疲れるので、長い時間は続きませんが、ふと思い出したときにクッと丹田に力を入れるだけで、腰の負担は軽減される気がします。

最近は、機械式駐車場から車が出てくるのを待つ間や、ホームに電車が入ってくるまでの時間を利用して、かかと落としをするようにしています。あるいは片足立ちを30秒間する。テレビで紹介しているのを見たからです。体幹を鍛える簡単な体操の一つだそうです。

台所で野菜を切りながらかかと落としをしてみたら、包丁が上下して指を切りそうになったので止めました。

でも、こんな具合に日常生活のほんの短い時間を利用して、あちこちから入手した簡単な健康法を好きなように取り入れてみるのは気楽です。

改めて「体操の時間」を設けなくても、スポーツジムに通わなくても、いつでもどこでも実行できることが、続ける秘訣になると思います。たとえ私のように「休止中」になったとしても。

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