神栖市の同票市長選を覚えていますか
昨年末、この連載で2025年11月9日に投開票が行われた茨城県の神栖市長選挙で、2人の候補者の得票がまったく同じ1万6724票で並び、くじ引きで新人の木内敏之氏が当選となったことに触れた。
あのとき、私は決着が長引きそうだと予想したのだが、やはり問題が複雑になっているようである。今までの流れを簡単にまとめよう。
まず、開票後に得票が同数だったことが判明し、くじ引きで落選した現職の石田進氏が異議を申し立てた。ここまでは当然の反応といえるだろう。
神栖市の選挙管理委員会はこの異議申し立てを受け、選挙直後の昨年11月26日に全票を再点検したが、結果は変わらずに同数で、木内氏の当選という結果も変わらなかった。
だが、これで決着とはいかなかった。地方議会の場合、選挙に対して不服があった候補者は、都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができるのだが、石田氏はこの審査申し立てを行い、26年3月21日に「再々点検」が行われた。
この結果、くじ引きで当選した木内氏に2票、石田氏に1票の無効票があったことが発覚。この無効票で両者の得票数に差がついた結果、木内氏の当選は無効となった。
話は終わらない。再々点検の結果、当選が無効となった木内氏は、これを不服として東京高等裁判所へ提訴。今後は裁判で結論を争うことになる。
私の率直な感想を言えば、「やはりこうなってしまったか」というところだ。
木内氏の当選無効が妥当だ、ということではない。圧倒的に得票差がついたならともかく、人生を懸けて選挙に臨んだ候補者からすれば、接戦で負けてしまったとあれば納得できない部分が出て、このように長期化するのは当然ということだ。有効とされていた票があとから無効になったのだから、徹底的に争おうという気持ちはわかる。
だが、それが神栖市民のためになるかは別の話だ。市長がコロコロと代わってしまっては、市民は安心して政治をまかせることはできないし、裁判の結果次第では失職する木内氏も、市政を行いながら裁判に力を注がざるをえない。あまりよい状況とはいえないことは確かだ。
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