真のライバルはドンキとニトリ
ヤマダ・エディオンは、ほかにも経営環境で課題を抱えている。まず直近の課題は、「専門店以外での家電販売の増加」「海外産のシンプル家電の台頭」だ。
家電購入のために家電量販店を訪れると、店員が真っ先に勧めてくるのは、国内大手メーカーの高機能・高付加価値商品だ。例えばテレビなら、8K映像へのアップスケーリングによる高画質であったり、スマホ連携・ハンズフリー操作などを搭載していたり。付加価値の高い商品は価格・利益も見込めるため、店員は家電に詳しいソムリエのような立ち回りで、顧客に商品を販売するためのストーリーを考え続ける。
一方で、「ドン・キホーテ」などのディスカウント店で販売されているのは「地上波チューナーのない(Netflixなどは視聴できる)テレビ」「乾燥機能のない洗濯機」などの「シンプル家電」だ。家電に対してコスパで割り切る若年層は専門店に足を運ぶことなく、こういった商品を「プライベート・ブランド」(PB。店舗の自社商品扱い)で販売しているディスカウント店やスーパー、「ニトリ」「IKEA」などのインテリアショップや「イオン」などで購入する。
ヤマダ・エディオンなどの家電量販店は、付き合いのあるメーカー商品を優先するために、シンプル家電をあまり積極的に販売しない。(「利益・リベートが獲れない」といった事情もあるが、後述する)安く家電を買うための選択肢として、「高機能家電か、それ以外のシンプル家電か」イコール「家電量販店か、それ以外か」といった構図になってしまうと……家電量販店にとってのライバルとなり得る。
家電技術はすっかり海外流出
価格もお手頃なシンプル家電が普及した背景には、「家電技術の海外流出」がある。かつてパナソニック・ソニーなどの日本メーカー以外で持ち得なかったノウハウはすっかり流出してしまい、ほとんどの家電商品を、たやすく海外メーカーが製造できるようになった。
かつ、今は3Dプリンタなどの技術もあるため、日本の販売元が「機能はコレとコレだけ付けて、このデザインと店のロゴマークも入れて?」とリクエストするだけで、完成された「プライベート・ブランド(PB。自社オリジナル商品の扱い)」商品が、中国・台湾などの工場から日本に届く。
こういった商品に携わる関係者によると、「もはや、カタログギフトのようなノリで、自社ブランドの家電商品を開発できる。こういった商品は昔は問題が頻発していたが、かつて日本メーカーにいた技術者も関わっているので、海外製の商品でも品質・耐久性とも問題ない」そうだ。
家電量販店としての同業者だけではなく、シンプルで安価なPB家電を擁する他業種に、需要を削られつつある。だからこそ、ヤマダ・エディオンは業界の上位同士で手を組み、店舗での販売力を強化する必要があるのだ。
リベート、ヘルパー頼みの構造
ヤマダ・エディオンのもう一つの悩みは、これまでの成長源となってきた「リベート+ヘルパー頼みビジネスの終焉」だ。
ほとんどの家電量販店は、「あのメーカーの商品が欲しい」といった人々に、すんなり応じて商品を販売している訳ではない。週ごとに決まっている重点商品・拡販対象の商品を販売すべく、「振り替えトーク」「値引き提示」で希望商品を変えて購入してもらうのが通常だ。


