後発なのに業界1位。しかも駅前には店をほとんど出していない。そばチェーン「ゆで太郎」の急成長の秘密はどこにあるのか。運営会社・ゆで太郎システムの池田智昭社長は「郊外にはそば屋がなかった。そこがブルーオーシャンだった」と語る。フリージャーナリストの前屋毅さんが取材した――。(第1回/全3回)
駅前の一等地を「競合に譲る」という逆転の発想
そばチェーンといえば、駅前の一等地で忙しいサラリーマンが立ったまま手早くかき込む――。そんなイメージを持つ人は多いだろう。実際に、大手そばチェーンの「名代富士そば」は約100店舗、「小諸そば」は約60店舗を展開するが、その大半は東京23区内の駅前やオフィス街に集中している。ただ、業界1位のチェーンは駅前の一等地を主戦場としていない。
そばチェーンの「ゆで太郎」は、1994年に東京・大森で創業し、店舗で粉から製麺した「挽きたて・打ちたて・茹でたて」のそばを売りに全国へ展開してきた。現在の店舗数は23都道府県で約220店舗。後発ながらそばチェーンとしては店舗数で業界1位に立つ。だが、その戦い方は富士そばや小諸そばとはまるで違う。
富士そばや小諸そばと都心部だけで比べれば、ゆで太郎の店舗数は50店舗ほどにすぎない。駅前の一等地にもほとんど出ていないのだ。それでも全体で業界トップに立てたのは、都心部ではなく郊外のロードサイドに活路を見いだしたからだ。

