女性は丸っこくてピンクっぽい車が好き?
ホンダの軽自動車、Nシリーズが爆発的に売れている。
今年、上半期の新車販売台数ランキングではトヨタのプリウス、アクアに次いで、ホンダのN BOXが前年同期比13.9%の伸びで堂々の第3位。昨年11月に売り出したばかりのN-ONEも第10位と大健闘をみせる。
いったい何がNシリーズの人気をここまで押し上げているのか。本田技研工業営業開発室でNシリーズを担当する阪口泰介さんは、こう言い切る。
「女性の軽自動車に対する本質的な要求に、真正面から応えたからです」
軽自動車のユーザーには女性が多い。
「軽」は地方都市に暮らす女性の足であり、男性が登録車で通勤し、女性が軽で買い物や子供の送り迎えをするというのが地方都市に見られる最も一般的なスタイル。これまでの軽はあくまでもセカンドカーであり、文字通り登録車よりも「軽い存在」だった。
ところが、軽のテコ入れのために女性を対象としたサーベイを行ってみると、まるで想像もしていなかった結果が出てきたと、阪口さんは言う。
「自動車メーカーの男性社員は、女性は丸っこくってピンク色っぽいかわいい車が好きだと決めつけてきましたが、とんでもない誤解でした」
アンケート用紙に、女性たちの信じられない本音が記されていたのである。
「黄色ナンバーだからってナメられたくない」
「信号待ちで登録車に負けたくない」
女性は「かわいい車」に乗りたがり、走行性能には興味がないというのは完全に男の思い込みにすぎなかったのだ。実際、N-ONEの総販売台数のうち、実に30%がターボ付きだという。
「アンケートを見ても、女性はターボ好きですね。軽だからトロイと思われるのは、きっと屈辱なんですよ」