厚生労働省は、経済成長や少子高齢化対策が不十分だった場合、2030年の日本の労働力人口は、10年の約6630万人から約950万人減るという試算を発表しました。これ一つとっても、女性が積極的に働かざるをえない状況にあります。
一方、54%の女性が出産前後に会社を辞める事実もあります。企業は派遣社員などで労働力不足を補ってきましたが、3年以上継続して雇用すると雇用申込義務が発生し、その直前での「派遣切り」が問題視されています。
しかし近年は、採用コストや人材育成費などを考えると、直接雇用した女性に長く働いてもらったほうが費用も抑えられると考える企業が増えてきました。そこで、大手金融や商社などで一般職の新卒採用を復活させる動きが活発化しています。
かつて一般職といえば、短大卒の女子大生の志望者が中心でしたが、いまでは早慶クラスの女子大生が5大商社などの一般職の募集に殺到しています。彼女たちは、「ハードルの高い企業でばりばり働いて疲弊してしまうくらいなら、最初から一般職でそこそこ働き続けるほうが楽でいい」といいます。
私は男女雇用機会均等法第一世代で、バブル世代でもあるのですが、彼女たちは、総合職の第一線で働く女性を見て、「ああはなりたくない」と思っているようです。
最近は、「フツー(普通)に働いて、フツーに結婚して、フツーに子供を産みたい」という“そこそこさん願望”が顕著です。男性に対しても、「平均的な年収、平凡な顔立ち、平穏な性格」の“三平”が理想です。もはやそこに夢や憧れはなく、「みんながしているから、自分もしておきたい」という、安全安心志向のほうが強いんですね。