子供から「なぜ算数や数学を勉強する必要があるのか」と問われたら、どう答えればいいのか。東大生作家の西岡壱誠さんは「算数や数学は基本的な思考力をつけるための訓練といえる。これは文系の問題を解くときにも必要な能力だ」という――。(第1回)

※本稿は、西岡壱誠『逆転合格東大生の受験お悩み相談』(星海社新書)の一部を再編集したものです。

大学の授業
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大学に行っている人の方が寿命が長い

Q 大学に行く意味が全くわかりません。受験勉強して大学に行っても、別にそんなに年収も変わらないじゃないですか。大学なんて行かなくても良くないですか?[高校1年生 男子]

A 大学に行く目的に関して、語るべきことはたくさんありますが、1つだけお伝えすると、「大学に行くと平均寿命が延びる」からです。

最近読んだ論文で「マジか⁉」と驚いたものがありました。「Education and health」という論文で、「人間は、教育年数(教育を受けた年数)が長ければ長いほど、平均寿命が延びる」というのです。

GDP、つまり経済的な豊かさと平均寿命の相関はそこまで強くないにもかかわらず、教育年数と平均寿命はかなり密接につながっていることがわかったんです。

すごく大雑把に言ってしまえば、中卒よりも高卒の方が寿命が長くなり、高卒よりも大学に行っている人の方が寿命が長くなるわけです。すごい話ですよね。

さて、突然ですが「1次元アリと3次元アリ」という話をご存じですか?

「ここまでの人」と「ここからの人」の差

アリにはいろんな種類がいますが、その多くは「一次元アリ」と呼ばれる、前か後ろにしか動けず、1本の線の上をずっと歩くアリなのだそうです。しかしその線の上に石が置かれたら、前に進めません。そこが1次元アリの限界となります。

しかし、その中で「前後だけではなくて左右から回り込んで前に進めばいいのではないか」と考えるアリが出てくると、石を避けて横に移動するアリが出てきます。これが「2次元アリ」になります。

そしてさらに進んで、今度は左右に無限に広がる大きな壁が現れると、2次元アリも困ります。2次元アリではどう考えても前に進まないわけです。2次元アリの世界の終わりはここになってしまいます。

しかしまた、「壁を上に登ったらいいのではないか」と挑戦する「3次元アリ」が出てきます。このアリが出てくれば、前後左右の世界しかなかったアリに「壁を上に登る」という道が現れます。