壁を越えられる可能性が高い
この話は、我々人間にも応用できるんじゃないかと思います。つまり、1つの道だけで完結している人は1次元アリと同じで、「この道が終わったらもうおしまいだ」と考えてしまうわけです。
でも、壁や困難があっても、「この壁って、上に登ってもいいんじゃないか?」と考えられるような人、考えるための方法を知っている人であれば、その壁を越えてあたらしい世界に到達できるようになっていきます。
そして、教育年数が長ければ長いほど、我々はいろいろな世界の勉強をすることになります。さまざまな研究が一挙になされていて、「こんな世界もあるんだ」「あんなこともできるんだ」ということがわかる場所というのが大学という機関だと思います。
大学に行った方が壁を越えられる可能性が高まるわけですね。だから平均寿命も延びるのではないか、と。そういう気持ちで大学に行ってもいいんじゃないでしょうか。
文系なのに数学を勉強する意味
Q 数学の勉強、意味なくないですか? 将来文系に行く気でもあるので、正直マジでやりたくないんですけど、どう思います?[中学3年生 女子]
A 数学の話をする前に、小学校の算数の話をさせてください。
算数で角度の問題を解いたことってありますよね。「三角形ABCで角Aの角度が40度、角Bの角度が60度だから、合計したら100度。三角形の3つの角の和は180度だから、残りの角Cの角度は80度だ」みたいな問題。
僕も昔、「なんでこんなことやんなきゃいけないんだ」とすごく嫌な気持ちで勉強していたんですけど、勉強を教える側になってみると、「これは算数以外の訓練にもなっているな」と考えさせられることが多いんですよ。
例えばいまの角度の問題って、思考をしっかりと整理しないと解けないんです。
・情報1 角A=40度
・情報2 角B=60度
・情報3(情報1+情報2) 角A+角B=100度
・情報4 角Aと角Bと角Cは三角形の3つの角なので、合計すると180度になる
・情報5(情報3+情報4) 角C=80度
という思考回路で「角C=80度」となります。既存の情報を組み合わせて新しい情報を作っていくという過程を積み重ねることで角度を求めるのが算数の問題だったわけです。これは小学校の問題ですが、割と複雑なことをやっていると思いませんか?


