※本稿は、高橋暁子『スマホで受験に失敗する子どもたち』(星海社新書)の一部を再編集したものです。
スマホがやめられず受験に失敗してしまった
「スマホ依存が止められなかった。コントロールしたいと思うのにできず、勉強に集中できなかった。結局、志望大学には落ちてしまい、大学入学テスト利用で志望度が低い大学に入学する羽目になってしまった。あんなにお金を出して塾にも行かせてもらったのにこんなことになり、両親には本当に申し訳ないと思っている」
ある大学での講演で、講演の感想に長文を書いてくれた学生がいました。その学生は、前述のような内容の体験を書き記していました。「もっと早く講演を聴いて、コントロールできるようになっていればよかった」というのです。
そうです。この学生はスマートフォンのせいで受験勉強に集中できず志望大学に合格できなかったのです。もちろん、受験はベストを尽くしても必ず志望校に合格できるわけではありません。この学生もスマホがなくても志望校に合格できたかどうかはわかりません。
しかし、少なくとも全力を尽くしたという思いがあれば、こんな発言はしなくて済んだはずです。もし合格できなかったとしても、「ベストを尽くした」と思えるかどうかはとても重要です。少なくとも納得して受け入れることができていれば、入学して何ヶ月も経った後に、後悔を口にしたりはしないで済んだはずです。
ネット依存に悩む学生が増えている
私は普段、大学で「SNSと情報リテラシー」の講義を受け持っています。講義の中で、学生自身に情報リテラシー分野から、個人や学校、行政なども含めた改善策や対策を提案してもらう課題を出します。
幅広いテーマの中から、多くの学生が自分の悩みや身近な問題を選ぶ中、格段に多いのが「ネット依存」です。これまで多くのレポートを見てきました。その中に頻出する文言をいくつかご紹介すると、
「受験時にはスマホ依存で苦しんだ」
「アプリを消したり利用時間制限機能を駆使したけれど、制限しきれなかった」
「~という方法がいいと言われるけれど、自分には効果がなく制限できなかった」
「ついついスマホを使ってしまい、成績が伸び悩んだ」
「自分の弟/妹が、たった今スマホ依存に苦しんでいる」
「自分の弟/妹がネットを制限できずに親が困っている」
など。
ネット依存をテーマに選ぶ学生の多さ、エピソードの豊富さやリアルさを見るに、ネット依存が大学生にとって非常に身近なものであることがよく分かります。


