子どもが社会的に自立できない、いわゆる「ひきこもり」はなぜ起こるのか。不登校ひきこもり専門カウンセラーのそたろうさんは「親御さんが先回り、過干渉を続けていると自立の機会を奪ってしまう。だが、ただ放っておけばいいということでもない」という――。
息子と食事をする高齢女性のイメージ
写真=iStock.com/pain au chocolat
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終わらない子育て「8050問題」への不安

不登校ひきこもり専門カウンセラーのそたろうです。

これまで8000回以上の相談に乗ってきましたが、不登校に悩む親御さんが共通して抱えているのが「8050問題」(80代の親が、50代のひきこもりの子どもを支えることで、経済的・社会的に孤立してしまう問題)への恐怖です。

いま学校に行けなくなっている子どもが、年齢を重ねてもこのまま社会に出られなかったらどうなるのか。「私が年老いても、この子が働けなかったらどうしよう」「私がいなくなったら、この子はどうやって生きていくんだろう」と語られます。

経済的負担も大きいです。実際に僕の元へ相談に来られる親御さんの多くが、「私たちの年金だけで、この先、何十年もこの子を養っていけるのだろうか」という切実な不安を口にされます。お子さんの国民年金や健康保険料、日々の生活費の肩代わりがこの先20年続けば、出費は1000万円を超えてきます。ご自身の介護費用に充てるはずだった老後資金が、お子さんの生活費として消えていく……。

親の医療費が払えず、親子共倒れになってしまうといった悲しいニュースを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

2014年と少し前のデータになりますが、文科省が行った不登校の児童の追跡調査で不登校からひきこもりに移行する割合は18.1%。8割のお子さんは不登校になっても、なんらかの形で社会に復帰していると言えるわけですが、そのままひきこもりになってしまうお子さんも決して少なくはないのです。

きっかけは不登校だけではありません。高校・大学卒業後に就職できなかったり、社会に出てからも職場の人間関係のつまずきなどで、ひきこもりになってしまうこともあります。内閣府調査では、15~64歳でひきこもり状態にある人は推計で146万人。その年代の50人に一人がひきこもりとなる計算です。

子育て中の親御さんが「子どもが自立しない」「終わらない子育て」に不安を持つのは当然だと思います。社会に復帰できる8割のお子さんと、ひきこもりが長引いてしまう家庭には、どんな違いがあるのでしょうか。

今回は、実際にあった事例やメディアで取り上げられたケースを通じて、「子の自立」と「ひきこもり」の分岐点について解説したいと思います。

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