「介入しない」勇気が、未来を変える

この3つの事例に共通しているのは、「親の過度な介入が、子どもの自立を阻んでいる」という事実です。

「介入しないと、このまま一生ひきこもってしまうんじゃないか?」その親御さんの不安と焦りこそが、パラドックス(逆説)的に、子どもから「自分でなんとかしよう」とする力を奪い、8050問題を引き寄せてしまっています。

もちろん、「ただ放っておけばいい」という単純な話ではありません。事例③のお母さんのように、親自身が自分の不安と向き合い、自分の人生を楽しむこと。そして、子どもを信じて「手を出さない」という選択をすること。それが、お子さんが自分の人生と向き合い、再び歩き出すためのスペース(余白)を作ることになるのです。

【図表1】子どもが動き出すメカニズム
筆者作成

その行動は「愛」か「不安」か

8050問題への不安は、尽きないかもしれません。しかし、その不安からお子さんに介入してしまう前に、一度立ち止まってみてください。

あなたが今お子さんにしていることは、事例③のように「自立を信じるサポート」でしょうか? それとも事例①のように「失敗させないためのコントロール」でしょうか? 心を整理するためのワークシートをご用意しました。ぜひご活用ください(画像1)。

子どもの自立を促す「行動仕分け」ワークシート
【画像1】

最初に現状の「棚卸し」と「仕分け」を行います。普段、お子さんに対して「やってあげていること」を書き出し、その動機がAとBどちらに近いかチェックを入れてみましょう。

A:愛・サポート(「助けて」と言われた、困っているから)
B:不安・介入(将来が怖いから、私が安心したいから)

「B(不安・介入)」にチェックがついた行動は、思い切ってやめる・減らすチャンスです。その行動をやめて「空いた時間」で、あなた自身のために何をするか考えてみてください (例:カフェでゆっくりコーヒーを飲む、趣味の時間に充てる)。

親御さんが「不安」から行動している時、お子さんは「信頼されていない」と感じてエネルギーを失います。逆に、親御さんが自分の人生を楽しんでいる時、お子さんは「大人は楽しそうだ」「自分の人生を生きていいんだ」と希望を持ちます。「B」の行動を減らすことは、冷たいことではありません。お子さんを信じる「愛」の行動です。

まずは親御さんがご自身の人生を大切にすることから始めてみてください。それが、結果としてお子さんの未来を拓く一番の近道になるのです。