今年も中学受験生にとって“運命の5日間”がやってくる。多くの中学受験生を指導する進学塾VAMOS代表の富永雄輔氏は「受験シーズンを前に、願書提出や受験校選びなど親のタスクは非常に多い。しかし焦りがあるからといって、子どもにうっかりかけてはいけない言葉がある」という――。
勉強している子供のそばで見守る母親
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一見やる気のない子の「頭の中」

中学入試が本格的に始まるこの時期。日が過ぎるごとに、親の焦りは募る一方でしょう。この時期の子どもたちの心情や状態はさまざまですが、大きく二つのパターンに分かれます。

一つは、「やっと緊張し始めた」という子どもです。12歳の子どもにとっての「数週間後」は、大人の体感に置き換えると3〜4カ月分に相当するほど長いものです。ましてや、多くの子どもたちにとって、入試という“本番”は初めての経験です。まじめにコツコツ勉強してきた子でも、「まだ3週間もあるから大丈夫」と楽観的に捉えているかもしれませんし、ようやくエンジンがかかってきた子もいるでしょう。

もう一つは、「逃げ出したくなっている」子どもです。一見、あまり勉強に身が入らないように見える子もいるかもしれません。しかしこういった子は、やる気がないのではなく、押しつぶされそうな不安から目を逸らしている可能性があります。

多くの子が「本番が近いということが、やっと分かってきた」今、特殊な状況に置かれていることは間違いありません。ふわふわしている子も、逃げ出したくなる子も、全員がそれぞれの置かれた状況で、彼らなりに「これまでの人生で一番の山場」を乗り越える準備を始めているのです。

親の焦りが招く「言ってはいけない言葉」

この時期の親は子ども以上にやるべきことが多いと言えます。実際に受験する学校の最終調整、願書の提出、併願校のシミュレーション、入試当日の自分と子どもの行動スケジュールの検討……。タスクが多すぎて、つい子どもにも「今まで勉強したことが、身についていないじゃない!」などとネガティブな言葉をぶつけてしまいがちです。

しかし、この時期に絶対に避けるべきなのは、子どもに対して「一方的な言葉を投げつけること」です。「勉強しなさい」「がんばって」という言葉は、すでに限界までがんばっている子どもをさらに追い込んでしまいます。中学受験生は、朝から晩まで学校と塾を往復する過酷な日々を数年続けています。日本で一番がんばっているのは彼らだと言っても過言ではないからこそ、慎みたい言葉です。

また、一部の子どもは、反抗期に差し掛かっているかもしれません。その場合は、心に土足で踏み入ると逆効果になることもあります。反抗期は避けられない「台風」のようなものだと割り切り、真正面からぶつかりすぎないことが重要です。