入試前日〜当日、親が心がけるべきこと

受験期の食事では栄養をとることが大事ですが、あえて親が無理をしないように心がけることも、家庭内のピリピリした空気を和らげる秘訣です。普段からあまりがんばらず、時短を意識していただいてよいと思います。冷凍食品などの利用もアリでしょう。

入試前日の食事は「カツ」などの重いものではなく、「鍋」がおすすめです。準備に時間がかからず、体も温まります。

そして迎えた入試当日。親にできることはただ一つ、「ドンと構えていること」です。子どもと手をつなぎ、背中をさすりながら入試会場に向かい、たどり着くだけで勝ちだ、というくらいでよいのではないでしょうか。

2月1日や2日、朝一で入試会場に入っていく子どもたちを見たときに、これ以上「がんばれ」などの言葉はかけられないです。それほどまでにがんばってきたわが子の背中を見て、親自身も「よくやった」と自分を褒めてあげてください。

子どもには「新しいこと、難しいことはしない」よう伝えるとよいでしょう。直前まで参考書を見るのはよいことですが、解けないような難問に手を出して自信を失うのは避けるべきです。慣れ親しんだ教材をパラパラと見返し、「これまでやってきたこと」を再確認するのがベストな過ごし方です。

受験は「家族の絆」を育む一大イベント

富永雄輔『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』(幻冬舎新書)
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中学入試本番の5日間は、人生でもっとも過酷な時間かもしれません。朝5時に起き、午前・午後の試験をこなし、夜にはネットで結果を確認する。不合格の「×」を見て、涙を流す子どもを支えながら翌日の作戦を練り、また早朝に家を出る……。子どもにとっても、12年間の人生で、これほど濃密な経験は他にないでしょう。

しかしこの過酷なプロセスこそが、最新のAIでも決して育むことのできない「これからの時代に必要な力」を育みます。それは、一つの目標に向かって一丸となり、泥臭く走り抜ける経験です。塾の仲間との絆や家族の連帯感は、結果がどうあれ一生の財産になるはずです。

最後に、入試直前のご家庭へアドバイスを。携帯の情報を遮断し、周りと比べず、わが子の衣食住のクオリティを少しだけ上げてあげてください。好きな入浴剤を入れる、少しよい布団を用意する、車で送迎して好きな動画を見せてあげる……。そんな小さなご褒美が、子どもの心を支えます。そして入試期間中に少しでも異変や不安なことがあれば、いつでも塾のスタッフに連絡し、サポートを受けてください。

合否よりも大切なのは、無事に試験場までたどり着き、全員で走り切ること。家族みんなでここまで歩んできた道のりを誇りに思い、どうぞどっしりと構えて、本番の門をくぐらせてあげてください。