見るべき行動と「子どもに伝えたい言葉」

親はこの時期、何を注視し、どう接すればよいのでしょうか。もっとも大切なのは、子どもの「寝顔」と「食欲」を見ることです。12歳の子どもは、不安を言葉にするためのボキャブラリーがまだ少ないため、ストレスはSOSとして行動や体調に現れます。眠れない、あるいは逆に寝すぎてしまう、食べられなくなる……。こうした変化を敏感に察知してあげてください。

子どもにかける言葉としておすすめなのは、「お疲れさま」という労いです。送り出すときは「がんばって」ではなく「いってらっしゃい」、帰ってきたときに「お疲れさま。何か手伝おうか? 丸付けしようか?」と、“あなたと一緒に戦っているよ”というニュアンスを伝えるようにしましょう。

加えて、「受験が人生のすべて」というスタンスを封じることも大切です。仮に中学受験で第一志望に受かっても、勉強はまだまだ続きます。受験はゴールではなく、あくまで通過点です。

改めて考えると、中学受験はとても特殊です。公立へ進学する道もありますから、受験が必須というわけではありません。しかし日本には今、この12歳でしか入れない私立難関校や中高一貫校が意外と多くあります。その学校に入る権利がこの2月の1〜2日しかないから、親や子どもはここに照準を合わせていくし、その難しさが彼らを追い込むのです。

だからこそ、親が中学受験に熱中しすぎず、少し先を見据えましょう。そしてぜひ、家庭内に「安心できる空気」が生まれるよう、心がけてみてください。

教室で着席している生徒たちに話しかけている女性の教師
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
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受験直前に「ぐぐっと伸びる子」の共通点

中には、入試直前に急成長する子どももいます。彼らには明確な共通点があります。それは、「タイパとコスパに振り切った勉強」をしていることです。

私たちは普段「本質を理解し、じっくり考える」ことを重視して指導しますし、それが教育の本質であると思いますが、この直前期だけは別です。「あと10点足りない」なら、どの分野を潰せばその10点が取れるのか。伸ばすべきポイントを明確にし、1点でも多く取るための勉強に切り替えられた子が、最後にぐっと伸びていきます。

今の時期の子どもたちは、これまでの3倍、5倍の吸収力を持っています。この「人生最大の集中力」を、得意な分野の復習や、確実に取れる問題を増やすことに注ぎ込む。これが、直前の奇跡を起こす条件なのです。