SNSやゲームの長時間利用は学力を下げる
図表1のグラフから分かる通り、3分野すべてで、ゲームもSNSも1日1時間未満の生徒の得点が一番高くなっています。
次いで「全くない」、「1日1~3時間」が同程度。そして、「1日3~5時間」「1日5~7時間」「1日7時間より多い」と、利用時間が長くなるに従って、得点は下がっていったのです。SNSもゲームも、利用時間が一定以上になると、得点が下がってしまう、これは国に関係なく、世界共通で言える事実なのです。
少々古いですが、よく知られているデータも併せてご紹介しましょう。国立教育政策研究所の「平成26年度全国学力・学習状況調査の結果」(※2)では、小学生と中学生に対して、平日1日あたりの携帯電話・スマホで通話・メール・インターネットをする時間と、国語と算数・数学の平均正答率をクロス集計したものが掲載されています。
メールというのが時代を感じさせますが、ポイントは平均正答率の部分です。インターネットの利用時間が長くなればなるほど、どちらも平均正答率が下がっていたのです。因果関係が明らかにされた調査ではないものの、受験生も保護者も、思わずぞっとしてしまう結果には違いありません。
同じ学習時間でも成績に違いが出てしまう
因果関係が明らかにされていないと先ほど述べましたが、全国の小学校6年生・中学校3年生を対象とした文部科学省・国立教育政策研究所の「令和6年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)」(※3)では、因果関係にも少し言及されています。
調査によると、普段テレビゲームをする時間が1日当たり3時間以上であるグループは、全児童生徒の約30%います。そのグループは、1日当たり3時間未満のグループより勉強時間が短く、就寝時間にばらつきがあるという傾向が見られました。
また、小学校児童の約21%、中学校生徒の約32%が、普段1日当たり3時間以上SNSや動画視聴などをしていたのです。ゲームやSNS、動画視聴などを1日当たり3時間以上など長時間している場合は、必然的に学習時間が短くなり、生活リズムも崩れる傾向にあるのです。正答率が下がることには、このあたりが影響している可能性がありそうです。
同じ学習時間でも、成績の違いが出てしまうという恐ろしい話もあります。仙台市が実施した調査(※4)では、何と視聴時間が長くなると、学習時間が同じでも成績が低下すると報告されています。スマホ等の電子端末では、YouTubeなどの様々な動画サービスがいつでもどこでも視聴できます。ところが「ついつい動画を見てしまう」ことが増えると、成績に悪影響が出てくるというのです。


