受験だけではなく「卒業」や「就活」にも影響

他にも、「受験時には制限していたけれど、大学生になって自由になってからは使いすぎてしまっている」という学生は少なくありません。こちらも、「受験生には無理でも大学生くらいの年齢なら既に乗り越えているはず」と思う方を失望させるかもしれませんね。

しかし大学生達にとっても、ネット依存は完全に乗り越えた問題などではなく、まだ目前にあるものなのです。今の大学は講義への出席は当たり前に求められることであり、試験やレポートなども多く課されます。スマホにハマりすぎて単位を落としたら、留年や卒業できないなどの事態も現実味を帯びてきます。

経済協力開発機構(以下:OECD)生徒の学習到達度調査、文部科学省・国立教育政策研究所の「PISA2022」(令和5年12月)の結果をご存じでしょうか。(※1)

これは、義務教育修了段階の15歳の生徒が持っている知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測ることを目的とした調査です。実生活で直面する課題に必要な、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野において、2000年以降、おおむね3年ごとに調査実施しているものです。各回で3分野のうち1分野を順番に中心分野として重点的に調査しています。

調査で分かった「スマホと成績の関係」

81か国・地域から約69万人が参加しており、日本からは全国の高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校の1年生のうち、国際的な規定に基づき抽出された183校(学科)、約6000人が参加しています。

義務教育終了時点で日本の子ども達は、どのくらい生活に必要な学力を身に付けているのでしょうか?

結果は、数学的リテラシー(1位/5位)、読解力(2位/3位)、科学的リテラシー(1位/2位)と、3分野すべてにおいて世界トップレベルとなりました。なお、()内の上はOECD加盟国中、下は全参加国・地域中における日本の順位です。前回2018年調査から、OECDの平均得点は低下した一方、日本は3分野すべてにおいて前回調査より平均得点が上昇しており、素晴らしい学力と言えるでしょう。

気になる詳細なデータは元データで確認していただくとして、こちらで取り上げたいのはこの素晴らしい学力のことではありません。この中に、自国のICT(※Information and Communication Technology:情報通信技術)活用状況が紹介されています。

注目したいのは、「平日の余暇活動におけるICT利用」です。SNSやデジタルゲームに費やす時間が3時間以上の生徒の割合を見ると、日本はOECD平均より少なくなっています。そして、「日本もOECD平均も、SNSやデジタルゲームに費やす時間が一定時間を超えると、3分野の得点は低下する傾向がある」ことが分かっています。