※本稿は、イザベル・C・ハウ(著)、高山 真由美(翻訳)『自ら学ぶ子どもの育て方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
スマホに夢中な親を子供はどう見ているか
子どもとスクリーンに関してやきもきするのはよくあることですが、あまり語られないのは、親たちも途方もない時間をジャンクテック(有害テクノロジー)に浪費している事実です。気の散った状態での子育ては、小さな学習者たちにとって、彼ら自身のジャンクテックの摂取よりさらに大きな懸念事項になりえます。
10人のアメリカ人のうち6人が、電子機器に向かっている時間は子どもより長いと答えています。その結果にはハッとさせられます。子どもたちの圧倒的多数が、親がオンラインで過ごしているせいで寂しい思いをしているのですから。
アメリカの発達心理学者・エドワード・トロニックが行った「無表情」の実験というものがあります。最初は赤ちゃんと温かいやりとりをしていた親が、その後突然無表情になり、反応しなくなるというものです。赤ちゃんは反応がないことに苛立ち、親を再び引きこもうとします。
これと似た研究で、親が気持ちをスマートフォンに向けたとたん、乳児はすぐに泣きだして身をよじり、親の関心を取り戻そうとすることがわかりました。さらに、子どもと親のあいだに生じた脳波の同期が、スマートフォンを使っているあいだは断ち切られることも判明しています。
親がスマホに夢中になっている時間は意外と長い
最近、公園のそばで時間を過ごしたことのある人なら誰でも、親たちがみんな何らかのデバイスを使っていることに気づいたはずです。公園で20分のあいだ50人の親を観察した結果、親たちの4分の3が、その時間のほとんど(17.5分)を、モバイル機器を使いながら過ごしていました。そう、親がデバイスに気を取られている時間は長いのです。
その結果、公園での事故が増えているのですが、これは意外ではありません。ある研究者が、AT&Tの携帯電話の電波が新しく入るようになったエリアを観察したところ、そのエリアの5歳未満の子どもが緊急治療室に運ばれる割合が5パーセント増加したそうです。親たちが新たにモバイル通信を使えるようになった場所です。


