「レターパックで現金送れ」が詐欺ではない英国

日本では「『レターパックで現金送れ』はすべて詐欺」だが、筆者が住む英国ではごく普通のことだ。最近、ドバイとモーリシャスに行くのに、現地通貨(モーリシャス・ルピーとUAEディルハム)を入手する必要があったので、銀行にオンラインで注文したところ、翌日には郵便で自宅に届いた。もし何か事故があっても、保険でカバーできるので、何の問題もないと考えているのだ。

郵便に関していえば、日本のようにわざわざ郵便局に出向いて切手を買う必要もない。郵便局(Royal Mail)のサイトに必要事項を入力し、クレジットカードで代金を払い、自宅のプリンターでA4の紙にバーコード付きの送付状を印刷し、封筒や小包に貼ればポストに投函できる。

郵便で送られてきた英国の銀行から郵便で送られてきたモーリシャスとUAEの通貨
筆者提供
英国の銀行から郵便で送られてきたモーリシャスとUAEの通貨

日本凋落の原因は「デジタル化の遅れ」

日本のGDPは、かつて米国に次いで世界第2位だった。しかし、2010年に中国に抜かれ、2023年にはドイツにも抜かれ、世界第4位に転落した。一人あたりのGDPとなると3万3899ドルで世界34位に過ぎず、プエルトリコ(29位)や韓国(31位)よりも下という情けない状況である(英国は4万9648ドルで22位)。

日本凋落の理由は、公共投資や企業の設備投資がバブル崩壊後に低迷したことや、円安によるドル建てGDPの減少が指摘されている。しかし、筆者が強く感じるのが、デジタル化の遅れや過重なペーパーワークによる労働生産性の低さだ。

日本の行政のデジタル化は欧米に比べて少なくとも30年は遅れていることは、以前〈年金の受給手続きが5分で完了…日本人作家が感心した「窓口すらない英国」と「すべてがアナログな日本」の差〉という記事で指摘した通りだ。

これは何も役所に限らない。筆者がかつて働いていた銀行では、何か不祥事や問題が起きるたびに、担当部署が「こういう対策をやりました」と上に報告したいがために、新たな制度や報告書をつくり、そのために現場は多大な時間をとられ、仕事がまともにできなかった。

申請書を持つ女性の手
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです