このお題を見た中高年の男性読者の方で、「家(うち)のノートパソコンは自分がメーンで使っているわけだし、当然その購入決定権も自分にある。データの取り方がおかしいんじゃないか」と思われた方がいるのではないか。
でも、その人たちに私はいいたい。
「家計の財布の紐を誰が握っているのかというと、昔もいまも主婦の皆さん。一家の主としての威厳を奥さんに上手に保ってもらうことで、自分に購入決定権があるかのように錯覚しているだけなのですよ」と。
1万5000世帯以上の家計を診断してきた経験からいうと、何か値の張るものを購入する際に、どこまでなら支出の許容範囲なのか、家計の状況を一番把握しているのはやはり主婦なのだ。特に40代、50代の世帯であると、ご主人は稼いだサラリーを全部奥さんに渡して、家計のやりくりもすべてお任せという家庭が大半を占める。
そんな状態であると、ご主人の側はノートパソコンを買おうにも、いくらの予算まで組めるのか皆目見当もつかず、ひたすら「このノートパソコンがほしい」と奥さんに“おねだり”を続けるしかない。そうしたときの奥さんの常套句が「いまあるパソコンで十分じゃない」である。
この時点から夫婦間の心理的な戦いの火蓋が切って落とされる。
「一家の主のいうことを、なぜ聞けない? 第一、俺が稼いできたお金だ」
「冗談じゃないわ。子どもの塾や部活動などに毎月いくらかかっているか知らないくせに……」
そんな無言の圧力の掛け合いが繰り返されているうちに、ご主人の側が折れ始め、廉価なもので妥協する。でも「最後は俺のいい分が通った」と体面が保たれたことに満足する。ところが、一方の奥さんが「想定内の出費に収めることができたわ。やっぱり私が決めているのよね」とニコニコ顔だとはつゆほども知らない。そう考えると、テレビの決定権も意外と妻が握っているように見えないか。