男性下着という参入障壁の高い市場で年間86万枚のヒットを記録し、そして狙い通り、購買スタイルまで大きく変えた。メンズインナーでは後発だったワコールが、なぜその快挙を成し遂げられたのか。
後発メーカーが参入障壁の高い分野で成功できた理由
ヒット商品を生み出すために一種の「タブー」に挑戦するという方法がある。タブーとは「禁忌」と訳されるように、何らかの規範によって禁止されていたり、表立って触れにくい事柄のことだ。もちろん法律に抵触したり、あまりにも道徳的配慮に欠けるような場合は論外だが、古臭い価値観にとらわれて逃していたチャンスにあえてチャレンジすることで巨大なフロンティア・マーケットが拓ける可能性は決して低くない。この種の市場には、もともとライバルがいないうえに、表面化しにくい「サイレント・ニーズ」が沈潜している場合が多いからだ。
今回は、技術力に裏打ちされたイノベイティブな商品の開発により、買い物のし方にかかわる伝統的なタブーを打ち破ったワコールの機能性下着「クロスウォーカー」を紹介してみたい。この商品は、「男性が自ら下着を買いにいく」というこれまでにはほとんど見られなかった購買スタイルを創造することで、大ヒットを記録した。
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