キリンビールのなかでも最も高い生産能力を誇る横浜工場。異動してきたばかりの工場長が、若手工員が自主的に動いて力をつけられる職場づくりに奮闘する。

「愛されキャラ」の工場長がつくる若手の顔が輝く職場

<strong>キリンビール横浜工場長●石井康之</strong><br>1980年キリンビール入社。20年にわたり工場と本社生産管理部門にてビールづくりに打ち込む。経営企画部、キリンヨーロッパ社長を経て現職。
キリンビール横浜工場長●石井康之
1980年キリンビール入社。20年にわたり工場と本社生産管理部門にてビールづくりに打ち込む。経営企画部、キリンヨーロッパ社長を経て現職。

いい顔で働いている人が多い――。キリンビール横浜工場(神奈川県横浜市)を見学して一番印象に残ったのは、若手工員の穏やかながらも溌剌とした表情だった。工場長や部外者である僕が見ているから多少は「演技」が入っているかもしれない。でも、それが無理な演技なのか、普段の延長なのかぐらいはわかる。彼らは「ここが自分の仕事場だ」と納得して働いているのだ。

私事になるが、僕は9年前に某アパレルショップで店員をしていた。店長を目指してがんばっていたが、やる気は常に空回りして、「こんなはずじゃないのに」という絶望を胸の底に隠しながら働いていた。

1年後に退社を決めたとき、上司は言った。「大宮、おまえは入社してからずっと冴えない表情をしていた。辞めると言ったいまが、一番いい顔をしているぞ」。虚しかった。