すんなりと上司にクレーム対応をさせるべきではない

【ケース③】
上司を出せ! と詰め寄られた

マニュアルに沿って、丁寧に商品説明をして対応したのですが、「お前じゃ話にならないから上司を出せ」「責任者を出せ」と言われてしまいました。「ご不快な思いをされた点についてお聞かせください」とお願いしても「上司(責任者)が来るまで話さない」と取りつく島もありません。

・NG対応
「すぐ交代します」と、上司や責任者を呼びに行く。

・解説
上司をクレーム対応の現場に出すことは基本的にしない

津田卓也『カスハラ、悪意クレームなど ハードクレームから従業員・組織を守る本』(あさ出版)

「上司を出せ」と言われたからといって、すんなり上司に対応を交代するのはやめましょう(ただし、対応しているのが新入社員や部署移動してきたばかりで業務のことがよく分からないというスタッフの場合は、ベテランスタッフに迅速に交代しましょう)。

「上司を出せ」と繰り返す人の多くは、決裁権を持つ責任者には、現場スタッフにはできない特別な対応(金品での解決など)をしてもらえると知っているため、より悪質な要求をしようと考えているからです。上司は、現場の判断では対応しきれない、特殊な事情があるときにのみ、お客様の対応をすることとし、基本的に現場スタッフで対応しましょう。

クレームが発生するたびに上司を呼び出していたら、管理職としての本来の仕事ができなくなりますし、現場スタッフのスキルアップになりません。

可能なかぎり、現場スタッフで対応を完結させるべき

「上司を出せ」と言われたら、

・切り返しフレーズ
「私が責任をもってお話をお伺いします」
「上司が参りましても私と同じご説明になるかと思いますが……」

と伝え、交代しない姿勢を示します。お客様がダメだと言っても、「私がお客様のご意見を伺い、責任をもって上司に報告いたします」と伝え、現場スタッフが対応を続けます。最低3回は繰り返して説明するようにしましょう。

それでも、「いいから、上司を出せ!」と言い続けるようなら、責任者を出さなければならない理由を聞き出し、上司に伝え、指示を仰ぎます。なかには管理職など、役職の高い人間に謝罪をさせることで納得されるという場合もあります。反対に、組織としてしっかり対策を立てなくてはならないような要望を出してくることもあります。

いずれにしろ、対応は、基本的に現場のスタッフ同士で助け合いながら完結させることを徹底しましょう。

・POINT
上司はクレーム対応の現場に出さないのが原則。「私が責任をもってお話をお伺いします」「私がお客様のご意見を伺い、責任をもって上司に報告いたします」「上司が参りましても私と同じご説明になるかと思いますが……」と現場スタッフが対応させていただくという旨を最低でも3回は伝える。
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