過剰な要求をしてくるクレーマーを撃退するにはどうしたらいいか。クレーム対応研修講師の津田卓也さんは「損害賠償などの金銭的な要求をされたら、まずは丁寧に相手の主張を聞き取ったうえで、こちらの非があれば認めたほうがいい。そのうえで、本当に損害が発生しているのかを見極めることが重要だ」という――。(第2回)

※本稿は、津田卓也『カスハラ、悪意クレームなど ハードクレームから従業員・組織を守る本』(あさ出版)の一部を再編集したものです。

机をたたくビジネスマン
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その場しのぎの共感は事態を悪化させる

【ケース①】
自分勝手な主張を繰り返された

自分勝手な主張を繰り返されたポイントカードをつくったばかりのお客様から「今まで商品を購入した分のポイントもさかのぼってつけてもらえないか」と言われました。お店のルールに則って、「できません」とお断りすると、ヒートアップしてしまい、「いつも来ているのだから、店のスタッフ全員に確認すれば分かるはずだ」「今までポイントカードを勧めなかったのは、店側の落ち度だ」と、自分勝手な主張を繰り返して、一向に納得してくれません。

・NG対応
「そうですよね。私からも掛け合ってみます」と共感し、その場しのぎの約束をしてしまう。

・解説
相手の気持ちに共感してしまうと、さらなるクレームに発展する恐れがある

無理な要求を繰り返すお客様の場合でも、まずは部分謝罪から対応を始めましょう。怒っているお客様の態度の裏には正当な要求が隠れているかもしれません。このときのポイントは、決して共感しないことです。その場しのぎで相手の気持ちへの共感を示してしまうと、「そう思っているならお前がなんとかしろ」と相手の怒りに吞み込まれてしまいます。

共感するのではなく、「ご不便をお掛けしてしまい、申し訳ございません」という点にのみ部分謝罪をして、相手の心情に寄り添っているという姿勢を見せつつ、相手にクレームの内容を話してもらいやすい状況をつくります。