2024年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお届けします。食生活(後期)部門の第1位は――。
▼第1位 日本人の大腸がん死亡率は世界トップ…研究で判明した大腸がんリスクを「上げる食材」と「下げる食材」
▼第2位 「高齢でもヨボヨボにならない人」はよく食べている…医師が勧める「若返りホルモン」を増やす炭水化物の名前
▼第3位 こうして2年弱で50kg減のダイエットに成功…30代女性が「甘い物を食べたい欲求」を満たしたヘルシー食材
▼第4位 「日本と並ぶ長寿国」の不都合な真実…「野菜と果物生活」をやめたスペイン人が代わりにたっぷり食べているもの
▼第5位 「5カ月で10kg減」の40代男性が"毎日のアイス"を卒業するために代わりに食べた"ヘルシー食材"
※本稿は、内藤裕二『健康の土台をつくる 腸内細菌の科学』(日経BP)の一部を再編集したものです。
年間5万人以上の命を奪う大腸がん
高齢化が進むにつれ、日本国内でがんにかかる人、がんが原因で死亡する人の数は増加しています。
中でも増加傾向にあるのが大腸がんです。厚生労働省のデータによると、2020年にがんで死亡した人は37万8385人。男性の大腸がんでの死亡順位は第3位ですが、女性は1位となっています。
日本では今、年間5万人以上が大腸がんで亡くなっていて、この20年くらいの間に罹患率も死亡率も、世界のトップを走るようになってきました。アジアの中でもダントツに高いという状況です。
大腸がんが増える理由は高齢化が進んでいることや食の欧米化など、いくつか理由が考えられますが、死亡率が上がっていることを考えると、日本の大腸がん検診制度が十分でないという側面もあるかもしれません。さらに重要なことは、日本だけでなく世界でも大腸がん罹患年齢が若年化していることです。
推奨されている便潜血検査の“落とし穴”
現在、日本消化器がん検診学会で推奨されている大腸がんリスクを調べる検査は便中の血液の有無を調べる「便潜血検査」です。ヒトの赤血球のヘモグロビンタンパク質を検出する検査で、動物の血液とは反応せず、胃や口腔で出血した血液とも反応しません。
この検査で陽性と出たら、大腸で何らかの原因で出血していることを意味しており、大腸内視鏡検査やコロノスコピーという機器を用いた大腸CT検査などの精密検査を勧められます。
ところが、実は大腸がんの早期発見には、便潜血検査では十分ではないということが、近年世界的コンセンサスとなっています。がんが原因で便に血が混じるということはステージ(進行度)が進んでいる状態だからです。