老け込む人と若々しい人の違いは、朝時間の使い方だ。老化予防の鍵となる、朝の「日光浴」と「散歩」のやり方を紹介しよう。

午前6~7時に起きて朝陽を見る習慣を

若さを保つのも老化を進めてしまうのも、朝の習慣次第と言っても過言ではありません。とくに老化防止に効果的な朝の習慣が「日光浴」と「自然の中での散歩」。抗加齢医学の観点から、その2つの習慣が老化を防ぐメカニズムや、実践のコツを解説しましょう。

まずは、朝の日光浴の大切さについて説明します。人間は朝起きて、日中活動し、夜になったら眠るというサイクルで生きています。このサイクルを「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼びます。自律神経、ホルモンの分泌、呼吸、心臓の動き、体温の調整……人間が生きるうえで必要な機能は、サーカディアンリズムによって制御されています。このサーカディアンリズムを刻んでいるのが、「体内時計」です。

体内時計の中枢である「親時計」が脳の視交叉上核しこうさじょうかくですが、サーカディアンリズムを刻むのは「親時計」だけではありません。最近の研究で、心臓や血管、胃や腸、肝臓、皮膚などを構成する体中にある約60兆個の細胞に「子時計」と言える体内時計が存在することがわかりました。つまり脳の「親時計」は、体中の「子時計」と互いに連携をとって、全身でサーカディアンリズムを刻んでいるのです。

私たちハーバード大学の研究によって、人間のサーカディアンリズムは、1日平均24時間11分だと明らかになりました。毎日リセットしなければ、1日11分ずつズレていきます。ズレを調整しなければ体内が時差ボケのような状態になり、ホルモンのバランスや、自律神経が乱れ、老化の原因となります。

ズレの調整は、簡単です。朝、起きたらカーテンを開けて、太陽光を浴びるだけ。目で見た光が「親時計」がある脳に届くと体内時計がリセットされ、サーカディアンリズムのズレが修正されます。その点を考慮すれば、いくらまぶしくてもサングラスをせずに光を直接、目に入れたほうがより大きな効果が期待できます。

加えて近年の研究で、朝陽を浴びてから1時間以内に朝食をとることにより「親時計」と全身の「子時計」の連携がスムーズになり、ホルモンや自律神経が正常に働き出し、老化を食い止めてくれることがわかりました。

体内時計のリセットに必要な明るさは2500ルクス程度。曇り空や雨でも、窓の近くに少しの間いるだけで十分です。

体内時計のリセットが老化を予防するうえで重要だとわかっていたとしても、勤務時間などの関係で実現が難しい人もいるかもしれません。そんな人にお勧めなのが、コンビニエンスストアです。体内時計リセットのための光は必ずしも太陽光である必要はありません。家の照明は明るくとも500〜600ルクスなので不十分ですが、コンビニエンスストアの照明は2500ルクス程度。太陽光の代わりになりえます。

朝陽がもたらす抗加齢効果がもう一つあります。太陽光は、睡眠を促すメラトニンというホルモンの分泌をいったん止める役割も果たします。朝に止まったメラトニンの分泌は、15時間後に再開し、眠りを誘います。仮に7時に朝陽を浴びたとしたら、22時頃にメラトニンの分泌が活発になりはじめ、2時間程度経過した0時頃には深い睡眠をとることができるようになります。つまり、夜0時に寝たい場合は、その日の朝7時頃が理想の起床時間と言えるでしょう。

早起きによってもたらされる深い睡眠も、老化防止には欠かせません。睡眠が深くなり、休息モードである副交感神経の働きが高まると、全身の毛細血管がゆるみます。毛細血管がゆるむことで、日中に摂取し、血液に入った栄養分や酸素、睡眠中に分泌されるアンチエイジングホルモンである成長ホルモンが体の末梢まで行きわたり、傷ついた細胞を修復してくれます。睡眠中に、体は若返るのです。