起き抜けにコーヒーを飲んではいけない。科学的エビデンスに基づいた最強の24時間とは。

生物学的根拠に基づいた脳と体を覚醒させる方法

「忙しくて自分のケアをする時間なんてない」

これは現代を生きる私たちにとって共通の悩みかもしれません。しかし、世の中を見渡してみると、目が回るようなスケジュールをこなしながら、驚くほど若々しい外見を保ち、底なしの活力を持っている人たちがいます。

鈴木祐氏
鈴木 祐 Yu Suzuki
サイエンスライター。1976年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。著書に、『最高の体調』『科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)、『YOUR TIMEユア・タイム』(河出書房新社)などがある。

私は16歳から年に5000本の科学論文を読み続けている「日本一の文献オタク」です。結論から言えば、若さを保つ秘訣は根性や才能ではなく、生物学的な理にかなった「24時間の使い方」をいかにルーティン化できるかに尽きると考えています。

私の一日は、朝8時に始まります。私は時計のアラームを一切使いません。目覚まし時計の音で無理やり叩き起こされるという行為は、体を自然に覚醒させるストレスホルモンであるコルチゾールを激増させ、血圧や心拍数が一気に跳ね上がるからです。自然起床が難しい方は、音の鳴る目覚まし時計ではなく、徐々に明るくなる光の目覚まし時計などを活用すると、体への負担を抑えつつスムーズな目覚めを促すことができるかと思います。

起床してまず行うのは、脱水症状を防ぐために一杯の水を飲むこと。そして、そのまま10〜15分ほど、太陽の光を浴びながら軽い運動を行います。私の場合は、家の中でステッパーを踏むのが日課です。これは、その日の夜の眠りを「予約」する作業です。朝に強い光を浴びることで、夜に分泌される睡眠ホルモンである「メラトニン」の生成が促されます。

「季節性うつ病」があるように、冬場などは特に意識的に光に当たりにいかないとテンションも上がりにくい。こうして活力を高め、午前の仕事ができるように、朝の光と運動は私にとって「マスト」です。

午前中の仕事のパフォーマンスを上げるために私が大切にしているのが、朝食を抜くことです。朝食をしっかり食べることが健康に良いという風潮がありますが、食事を摂ると体はどうしてもリラックスモードに切り替わります。しかし、執筆のような深い集中を必要とする作業においては、この安心感は仇あだになります。あえて空腹により適度な緊張感を維持することで、脳を研ぎ澄まされた状態に保つのです。

午前中はあえて空腹を維持し、適度な緊張感の中で脳を研ぎ澄ませる。深い集中を要する執筆作業など、生産性を最大化するための重要な時間だ。
午前中はあえて空腹を維持し、適度な緊張感の中で脳を研ぎ澄ませる。深い集中を要する執筆作業など、生産性を最大化するための重要な時間だ。

私の場合、8時に起きてから13時30分までの約5時間半は、生産性を上げるために胃には何も入れません。サプリメントも摂らず、水とコーヒー以外は口にしません。

また、コーヒーを飲むタイミングにも科学的な戦略があります。コーヒーは起き抜けに飲まず、最低でも起床から90分は待ちます。なぜなら、起床直後はコルチゾールがピークに達しているからです。このタイミングでカフェインを摂取してしまうと、覚醒レベルが上がりすぎて焦燥感を抱いたり、かえって生産性が下がったりすることがあるんです。

運動習慣がない人はみるみる老けていく

午後の仕事が一段落した17時30分、本格的なトレーニングに入ります。なぜ、若さを保つためにこれほど運動が必要なのか。WHO(世界保健機関)の試算によれば、日本人の成人の35.5%が推奨される活動量を満たしておらず、特に20代から30代の若年層に至っては、実に8割に運動習慣がないというのです。