悪質なクレームにはどのように対処すればいいのか。クレーム対応研修講師の津田卓也さんは「『この社員をクビにしろ!』などと騒ぐクレーマーと遭遇した場合は、クレームをつけることに慣れている場合が多い。そうした場合は常識を逆手に取るフレーズを伝えればいい」という――。(第4回)
※本稿は津田卓也『カスハラ、悪意クレームなど ハードクレームから従業員・組織を守る本』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
「悪質クレーマー」の無理難題に付き合ってはいけない
【CASE1】
この社員をクビにしろ! と要求された
この社員をクビにしろ! と要求された
他のスタッフが対応していたお客様が私のところにやって来て、「あいつの態度はなんだ! 今すぐクビにしろ!」と激怒しています。
その勢いはとどまることを知らず、周りのスタッフも仕事が手につかないほどの怒鳴り声です。たしなめようとしても話を聞いてもらえないどころか、「そもそも接客というのはな……」「これはお前たちのためを思って言っているんだ」などと、今度は対応者以外のスタッフに説教を始めた挙句、「クビにするまで帰らない」とまで言い出しました。
【NG対応】
「社員をクビにすることはできません。なぜなら……」と、マニュアル通りの答えで議論に応じようとする。
「社員をクビにすることはできません。なぜなら……」と、マニュアル通りの答えで議論に応じようとする。
このケースは、特殊クレームに該当する可能性があります。対応者の説明を遮ぎってまで自分の話をしようとするという特徴があれば「ハードクレーム対応モード」への切り替えを考えましょう。
まずは事実確認のために6W3H(6W:いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・誰に/3H:どのように・いくらで・どれだけ)で質問を繰り返して、もともと対応していたスタッフに非があったかどうかを確認していきましょう。
スタッフの対応に問題がなかった場合は、シンプルに「人事については現場で判断できかねます」と返して、それ以上議論に付き合う必要はありません。このタイプの特殊クレーマーは、社会的地位が高い男性、または、退職した高齢者が多く、知恵が働く人が多く、法に触れないギリギリのラインで、スタッフに無理難題を突き付けてきます。

