企業にコーポレートガバナンス(企業統治)機能の強化を迫る圧力が一段と強まってきた。とりわけ、経営に外部の視点を取り込む社外取締役の存在が再び重視され、6月末で終えた3月期決算企業の株主総会で初めて社外取締役を選任する事例も相次いだ。政府も成長戦略に社外取締役設置を見据えた会社法改正案を秋の国会に提出する方針を織り込み、企業統治が大きな転機を迎えている。

トヨタ自動車は14日開催の株主総会に、同社初の社外取締役として宇野郁夫・日本生命保険相談役ら三人の選任議案を提出、承認された。トヨタは独自の役員制度で日本型経営を貫いてきた。ただ、世界企業として多様な価値観を経営に取り入れる観点から、「より開かれた会社と周りから思われるように」(豊田章男社長)、社外取締役を起用。ファナックも初の社外取締役を置いたほか、京セラ、住友商事など初起用組が相次いだ。

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