史実・独自の取材に基づいて、岩倉使節団の姿を明らかにした1冊です。使節団のメンバーは日本の将来を背に担い、驚くべき行動力を発揮しつつ、態度はあくまでも謙虚で礼節を重んじたことから、海外のメディアや往訪先の人々は、日本人の素晴らしさに感嘆したとの記述もあります。

近代日本の国家としての有り様を決める偉業を成し遂げた、その根幹には「志の高さ」があったと思います。昨今の日本人は自分も含め、小成に安んずる風潮が蔓延していると感じるときがあります。誇るべき日本人の姿を思い起こさせてくれる元気薬としての側面と、「常に目標高く前を見よ!」との自律や戒めを与えてくれる側面を持つ、傍に置きたい本の代表です。

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