繁華街を歩いていると「モデルになれますよ」などと勧誘されることがあります。しかし、契約書にサインすると、登録料やレッスン料などを支払っているのに、デビューできません。こうやって高額な金銭を騙し取るのが「スカウト詐欺」です。

とりわけ最近は、手口が巧妙になってきました。実際にスタジオで写真撮影をして、出版社などに売り込むためのプロフィール資料を作り、「これから売り出しましょう」と甘い言葉をささやきます。そこまでされると信じ込んでしまいます。

多くの場合、まずポートレート撮影を含む登録料が30万~50万円。1年間で100万~300万円にも達するレッスン料を取られます。実はこのレッスン料が曲者で、被害者の女性が「自分を磨くための費用だ」と納得してしまい、詐欺と認識するまでに相当な時間がかかるのです。平均の被害額は100万円に達するのではないでしょうか。

万が一、ご自身あるいは子供さんが、そうした詐欺にあったかもしれないと思ったら、1人で抱え込んではいけません。私たちのような専門家に相談することで、初めて問題解決への道が開けます。

詐欺集団は常套手段として「契約書に自分でサインしたのだから解約できない」とか「辞めるなら違約金が要る」などと脅しをかけてきます。そうした際、被害者の強い味方になってくれるのが法律なのです。

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スカウト詐欺に対応するための消費者契約法

まず、民法第96条第1項には「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」と書かれています。さらに、消費者の利益擁護を図ることを目的にしている消費者契約法や特定商取引法があります。

消費者契約法は、芸能プロダクションのような事業者と消費者との情報力や交渉力における明らかな格差を認めたうえで、契約の取り消しや無効を認めるものです。この法律の第4条1項では、不実の告知と断定的判断の提供があった場合は、契約を取り消せるとしています。