息子のフリをしてお金を騙し取る振り込め詐欺から、ネット上で著名人を装う愉快犯まで、世の中にはさまざまな“なりすまし”事件がある。なりすましはどこから罪になるのか。

既婚者が独身の青年実業家と偽って女性を口説いたケースを考えてみよう。じつは別人になりすまして女性と交際しても、それだけでは犯罪にならない。刑事事件に詳しい長谷川裕雅弁護士は、次のように解説する。

「ウソの経歴で女性に近づき、結婚をエサに金銭を騙し取ることを俗に“結婚詐欺”といいますが、詐欺罪は財物を詐取してはじめて成立します。つまりウソの経歴で女性を騙しても、お金を騙し取らないかぎり詐欺罪には問えません。肉体関係があっても同じ。女性の貞操は強姦罪などでは刑法上保護されていますが、財物とみなされないため詐欺罪は成立しません」