マツダは内燃機関にこだわり続ける

日本メーカーは、先進国の環境規制に対応する目的で環境技術を開発してきた。

マツダはピストンの圧縮比を高めた高効率なガソリンエンジンやクリーンディーゼルの「スカイアクティブ」シリーズを、11年から実用化している。前者はコンパクトカー「デミオ」、後者はSUV(スポーツ多目的車)「CX-5」に搭載されヒットしたが、もともとはEUのCO2排出量規制をクリアするのを目的に05年に開発が始まった。そして世界に先駆けてこの規制に対応できるエンジンをつくったのだ。

日産が92年からEV開発に着手したのも、カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッション車)規制に対応した車をつくるためだった。古くはホンダが米マスキー法(70年大気浄化法改正法、74年廃案)を世界で初めてクリアするCVCCエンジンを開発した歴史もある。

現在のエコカーは(1)HV、PHV、EV、燃料電池車(FCV)の電動車両が一つ。もう一つは(2)高効率エンジンや車両軽量化、アイドリングストップなどによる低燃費車だ。デミオをはじめ三菱自工「ミラージュ」、日産「ノート」などのほか、スズキとダイハツの軽自動車は30km/L(JC08モード)を超える低燃費を実現している。クリーンディーゼルも内燃機関の革新で生まれた。さらに直近では、(3)ワゴンRに見られる回生発電や蓄電により、低燃費を実現した車両が登場してきたのも特徴だ。

山内孝マツダ会長兼社長は「EVだPHVだと騒がれていますが、20年になっても世界市場に占めるEVは1割でしょう。つまり、9割は内燃機関なのです。HVに高効率なガソリンエンジンを使えば、燃費性能はさらに高まる。マツダは、内燃機関にこだわり続けます」と話す。

マツダは、例えば中国政府の政策に応えながら攻めるのではなく、高いブランドを構築して新興国市場を攻めていく戦略だ。「広島という田舎の会社なので、中国政府の政策など、細かな情報は他社さんのようには入手できない。しかし、走りや燃費で先んじる車をつくることはできます」と山内。

中国での消費者調査で「マツダ6(アテンザ)」が2年連続1位をとるなど、沿岸部の30代以下に人気だ。一人っ子政策により、甘やかされてきた層が、マツダ6の大きなターゲットだ。