アップル社が“秘中の秘”取引先156社リストを突如、公開――。プレジデントはリストに並ぶ聞きなれぬ社名に注目。今をときめくスーパーカンパニーを支える職人たちを追った。
公開された取引先は全体の97%
「正直、面食らっているんです」
米アップル社が1月13日、これまで秘中の秘としてきた世界中の部品調達・生産委託先156社の名を公開した。この英字リストには、米系、台湾系などとともに日本企業も。ソニー、シャープ、NECなど大手から地方の非上場企業まで、32社の名がある(表参照、“国籍不明”の数社を除く)。
冒頭の一言は、その中の一社に取材を申し込んだ際の反応だ。無理もない。アップル社は取引先との間で、取引じたいを公開しない秘密保持契約を結んでいるからだ。なぜ今、社名を公開したのか。
「取引先工場の劣悪な労働環境の改善のために、過去6年にさかのぼったレポートを作成しました。しかし、取引先の企業名を公開しなければ、(改善の努力や効果の有無を)秘匿していると思われてしまう。リストに掲載した会社には、これまで監視の目を緩めずにやってきたということです」(アップルジャパン)