──「スカイアクティブ」などの環境技術は新興国でも求められるのか。 
マツダ会長兼社長兼CEO 
山内 孝氏

山内 先進国、新興国を問わず、必要です。自動車は2020年になっても、9割は内燃機関が搭載される。電気だけで走るのは1割で、HVもPHVもエンジンを使うのです。しかし、内燃機関は発生するエネルギーの7割かそれ以上を、熱として捨ててしまっている。燃焼の最適化と車体の軽量化など、改善の余地は大きい。

1960年代、通産省(当時)の自動車業界再編構想に反発して自主独立を保つためにマツダはロータリーエンジンを開発した。スカイアクティブも同じです。反骨と言ったら怒られるでしょうが、世の中がEVやHVに動くなら、我々は独自にできることがあるはず。そう考えるのがマツダのDNAです。だからGMやクライスラーが潰れる時代でも、この中規模の会社が何とか頑張ってきた。

──市場の拡大に対し、マツダはどう戦うのか。

山内 1億台になるのは20年ころ。そのとき、半分以上は新興国が占めるでしょう。マツダはリーマンショック直後の08年11月に、米フォード・モーターの傘下から離れ独立しました。当時、マツダの販売構成は新興国は3割で、7割が先進国でした。いまでも、新興国は4割弱です。これを16年に45%にはしていく計画です。生産台数は現在約130万台(11年)ですが、16年には170万台とする。国内生産は、16年も現在と同じ85万台を維持します。

新興国では、これまで10年ほど取り組んできた。学んだのは、安売りをせずにブランドをつくる大切さです。マツダは新興国で、安い車で量を追う戦略はとりません。