日産自動車のナンバー2である志賀俊之COO(最高執行責任者)が46歳の若さで常務執行役員に大抜擢されたのは2000年4月のこと。生き残りを懸けたゴーン改革による経営再建のスタートと同じタイミングである。それまでは学閥や年功序列で役員が選ばれるケースが圧倒的に多かったが、ゴーン体制での異例の抜擢人事で最若手の役員の入社年次が5年以上も若返った。
日産自動車の志賀俊之COOは、本社傍流から“ゴーン効果”で一挙に出世した。(PANA通信=写真)
志賀氏は決して出世コースを歩んできたわけではない。大阪府立大学経済学部を卒業し、入社後は傍流のマリン事業部に配属。海外部門に移ってからも花形の北米や欧州の担当でなく、東南アジアなどの未開の市場開拓が中心だった。約5年半、左遷同然で単身赴任したインドネシアの事務所へは本社から訪ねてくる社員もなく円形脱毛症になるほどの孤独感に悩まされたという。
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