2022年6月の有価証券報告書によると、キーエンスの平均年収は2183万円だった。なぜここまで給与が高額になるのか。キーエンス出身の戦略コンサルタントである田尻望さんは「ビジネスでは、自社で仕入れたものの価値に対し、どう付加価値をつくり上げるのか、が重要だ。この価値が何かを理解していないと、生産性も報酬も低くなる」という――。(第1回/全3回)

※本稿は田尻望『付加価値のつくりかた 一番大切なのに誰も教えてくれなかった仕事の本質』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

黒板に描かれた上昇グラフ
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

会社の利益を効率よく増やすにはどうするか

早速ですが、質問です。

もし、あなたの会社で、コスト(原価・販管費)はそのままで、価格を20%アップできたとしたら……。

あなたの会社の利益はどう変化するでしょうか?

「そんなことできるわけないじゃないか!」という考えはいったんおいて、もしできたとしたらどうなるでしょうか?

図表で見てみましょう。

【図表1】価格向上は利益向上に直結する
出典=『付加価値のつくりかた』(P.3)

答えは……。

図表1の条件で営業利益率が5%だったとしたら、利益は5倍になります。

逆に、価格をたった5%下げることになったら、会社の利益はどうなるでしょうか?

【図表2】価格を下げると、利益は格段に下がる
出典=『付加価値のつくりかた』(P.4)

図表2のように、とんでもなく利益が減るのがわかるでしょうか。この図表の条件だった場合、利益がゼロになるのです。価格の上下だけで利益がこれだけ格段に変わるのです。

いかに仕事の生産性を高め、売上や利益を効率よく増やしていくのか。
いかにムダな仕事を減らし、本当に意味のある仕事に集中していくのか。

そのキーとなるのが、「付加価値」なのです。