人生後半に必要な人間関係は何か。精神科医の和田秀樹さんは「ある経営者の男性が、長年の親友を亡くしたことをきっかけにうつ状態に陥り、その後も長いうつ症状に苦しむことになった。何ごとも一点集中になってしまうと、何かあったときに崩れやすくなる」という――。

※本稿は、和田秀樹『60歳で離れる人、60歳からつきあう人』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

公園のベンチに座っている老人
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心が折れないための複数のつながり

自分にとって大事な友人、つまり「親友」とは、気が合い、一緒にいると心が安らぎ、何でも打ち明けられる人です。心の支えや安心を感じられる人、自分を受け入れてくれる人と言ってもいいでしょう。

こうした人が少数でもいれば、辛いときに相談できたり、自分の弱さをさらけ出せたりします。それだけで心の負担は大きく軽減されるのです。

しかし、こうした友人関係に頼りすぎるのも、少し危ういところがあります。

とくにひとりの人に「依存」してしまうのは危険なことがあるのです。

たとえばこんな例がありました。

ある経営者の男性が、長年の親友を亡くしたことをきっかけにうつ状態に陥り、その後も長いうつ症状に苦しむことになりました。「お前とは一生の親友だ」と言い合っていたほど気の合う間柄だったそうですが、その友人が亡くなってしまった途端、心の拠りどころがなくなってしまったのです。

もちろん、それほど信頼できて一生つきあえるような相手がいるというのは、本当に幸せなことです。ただ、死というものは誰にとっても避けられない現実であり、年をとればとるほど、その別れは身近なものになっていきます。

大切な人との時間にも必ず終わりが訪れます。だからこそ、他にも「最近、調子どう?」と気軽に連絡できる人が2人でも3人でもいれば、何かあったときの心の安定感が違ってきます。

気を使わずに話せる相手が少数でもいいから、何人かいる。それだけで、いざというときの気持ちの逃げ場になると思うのです。

これは家族や仕事に対しても同じです。

何ごとも一点集中になってしまうと、何かあったとき崩れやすくなります。でも複数の支えがあれば、ひとつが失われても他の支えが自分を助けてくれるのです。

そうやって依存先を分散させておくことが心の健康を保つ上でも大事です。