トヨタ自動車の「トヨタ生産方式」は、工場で常態化していた「7つのムダ」をなくすことから生まれた。その考え方は生産現場だけでなく、会議や資料作りが多い事務職の現場でも徹底されている。ノンフィクション作家の野地秩嘉さんによる連載「トヨタがやる仕事、やらない仕事」。第1回は「事務職にひそむ7つのムダ」――。
人のいないオフィス
写真=iStock.com/Portra
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「トヨタの会議は30分で終わる」は本当か

ある幹部に「トヨタの会議は30分なのですか?」と聞いたら、次の答えが返ってきました。

「30分とはわれわれはまったく意識してなくて、15分で終わるものもあれば2時間かけるものもあります。

【連載】「トヨタがやる仕事、やらない仕事」はこちら
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大切なのは『この会議は何のための会議か』を明確にすること、会議の準備を綿密にすることです。参加者全員にテーマを徹底してから会議を設定します。例えば、情報開示、情報シェアのための会議なら長時間は要りません。ビジネスの今後を決定する重要な会議であれば、1時間みっちりやることもあります。

トヨタの会議では、こんな成果が上がったと長々と話す人は見たことありません。逆に、こんなに困っていると話をすると、活性化しますね」

「ペットボトルの水を出すか」まで考える

トヨタでは会議の準備は確かに入念です。参加者は何人なのか。どこの会議室でやるのか。席順はどうするのか。出席予定者にテーマはどうやって伝えるのか。伝える場合はメールでいいのか。ペットボトルの水を出すのか、出さないのか。

定例会議であれば参加者は決まっています。ゲストがあればその人には事務局が連絡します。定例であれば会議室も1年先までは予約しておきます。席順は決まっていません。部屋にやってきた順番です。会議のテーマは、出席者はあらかじめ、クラウドにアップロードされたものを読んでおくことになっています。読んでいなければ居心地が悪いだけです。

「会議のテーマは? オレは聞いてないぞ。オレは知らないぞ」という人はいないのです。ペットボトルの水は出しません。ただし、時間が長くかかるような会議だと出す場合もあります。「自分で持ってきてください」と伝えておくこともあります。

30分に短縮するのではなく、カイゼンするから短くなる

特徴的なのは、トヨタでは会議の準備から内容、用意された資料まで、すべてにカイゼンの目が入ることでしょう。

トヨタ生産方式を指導、伝導する部署として生産調査部があります。全体の人数は約100人。教育研修の部署とはまた別にカイゼンを教えるセクションがあるのもおそらくトヨタだけでしょう。

生産調査部は工場などの生産現場をカイゼン指導するのですが、事技系、つまり事務技術系の部署のカイゼンも数年前から始まっています。

例えば、自動車開発の部署には「デザインレビュー」という会議があります。数時間の会議で使われる資料は200ページで、時間も6時間はかかるものでした。

デザインレビューの目的は成果の伝達と困りごとの共有でした。つまり、いいデザインについては説明を聞くだけで、困っているところについて出席者から知見を聞く会議だったのです。