生産調査部の担当が会議の事務局にたずねました。

「200ページ以上の資料のうち、困りごとは何ページですか?」
「はい、27ページ分です」
「わかりました。では、今後、デザインレビューは27ページ分だけを議題とする会議にカイゼンしましょう」

そうして、会議の時間は30分になりました。デザインの成果はそれぞれが資料を読んで理解すればいい。会議では話し合うことだけをやろう。トヨタの会議は短いのではなく、カイゼンしていくうちに短くなっていくのです。

「今日の会議は30分で終えるぞ」とあてにならない断定をしてから会議を始める人はトヨタにはいません。

ムダを排除するには「会議の構造」を知る

ここで会議というものの構造を考えてみます。

一般に対策会議、企画会議など、会議とは内容によって参加する人数、想定される時間は変わってくるものではないでしょうか。

ですが、いずれにせよ大半の会議は3つの目的のために行います。

1 情報の共有
2 意見を述べる。他人の意見を聞く。
3 合意の形成

例えば3カ月後に発売が決まった新商品の販促会議だとしましょう。1番目の「情報の共有」では新商品のスペック、発売時期などを担当者が参加者に話します。そして、情報とは、報告者の主観を排した客観的な内容のものです。情報は客観的なものですが、立場によって、情報の受け取り方は異なります。

「色は赤です」と聞いた人が「若者向けのデザインだな」と思うかもしれません。一方で「赤では売りにくいな」と感じる営業担当がいるかもしれません。

情報の共有段階で大切なことは「首都圏で多く売れるデザインです」といった主観を付け加えないこと。受け手の考えが変わってしまうからです。報告者は淡々と情報を的確に詳細に語らないといけません。

意見を述べ、他人の意見を聞いて、とりまとめるが…

2番目では、新商品の内容を聞いた参加者がどういったターゲットに向けて販促するかといったアイデアを出し合います。

ひとりが「若者向けにSNSを主に使おう」と言い、他の参加者が「いや、若者向けではあるけれど趣味性が強い商品だからイベントと口コミだ」と反論することだってあるでしょう。

受け手が営業担当なのか、また宣伝のエキスパートなのかによって意見は変わってきます。活性化した会議というのは、意見がたくさん飛び交うそれのことではないでしょうか。

3番目は「合意の形成」です。意見が出尽くした頃を見計らって、議長役が意見をまとめ、合意する。時には合意に至らず、もう一度、会議を開くことも必要かもしれません。また、多数決で合意を形成することもあります。

さて、こうして整理してみると、会議のどの部分にムダがひそんでいるかがわかってきます。