定型資料を決まったタイミングで送るのはやめる
トヨタの生産現場では、ムダをはぶくために「マテハンをなくせ」という合言葉があります。
マテハンとはマテリアルハンドリング、部品の運搬のことです。つまり、単に運搬することは仕事ではないという考え方です。
ある幹部は「これは事技系の仕事にも通用する」と言っています。
「例えばメールですよ。何でもかんでもメールを送りつけるのではなく、何を送るかをまず考えること」
まあ、この考え方はトヨタに限らず、もはや常識かもしれません。ですが、ここでおしまいではありません。トヨタではメールで何かを知らせる場合、さらにくふうがあります。
前述の幹部はこう言っています。
「決まりきった定型の資料を、決まりきったタイミングでメールで連絡するのはよそうとなっています。
昔、社内便というものがありました。封筒の中に文書が入っていて、回覧していき、社員は開封して中の情報を確認する。社内便を今ではメールにしていますが、問題はメールを送っても相手がすぐに開くかどうかはわからないことです。大半は相手のパソコンの中で停滞しているのではないでしょうか。
停滞している理由はタイミングが悪いからだと思うんです。情報は相手が必要とするタイミングに送らなければ読んでもらえません」
相手に届くメールとは、文章のうまさではない
「うちの部署では定型の資料は相手と共有できるサーバーにしまっておきます。そうして、自分が読みたいと思った時に見に行くことという約束だけ決めておきます。何時までに見てくださいということも最初に伝えておきます。そうすればみんな見に行きます。これだけでメールの量はがくんと減りました」
メールは送るのに手間がかかりません。手紙、電話よりも簡単に済ませることができます。ですから、送る時はなんでもかんでも送ってしまうのです。
一方で、読むのは大変です。特に、定型の気候挨拶から始まるメールが何通も受信トレイにたまっていたら、それだけで溜息が出てしまいます。
メールを送るタイミングですけれど、これは送った相手のルーティンを知るしかありません。
大半の人は朝、就業前にざっと目を通すのではないでしょうか。一方で、昼の食事前とか、終業間際に見る人もいるでしょう。在宅勤務の場合は朝起きてすぐにチェックするかもしれません。
「相手に届くメール」とは実は文章のうまさではなく、相手の読むタイミングを知っているかいないかなのです。
そこで、誰でもできる「相手に届くメールの送り方」を書いておきます。