経済的自由を手に入れるには、どうすればいいのか。「シリコンバレーの最重要思想家」と呼ばれる起業家のナヴァル・ラヴィカント氏は「富、人間関係、知識。すべて複利で考えるべきだ。たとえば上場企業のCEO職が高給を得ているのは、信用の複利効果の結果だといえる」という――。

※本稿は、エリック・ジョーゲンソン著、櫻井祐子訳『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

小銭
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人間関係やお金は、何十年も続けてこそ大きな見返りが得られる

Q「富であれ人間関係であれ知識であれ、人生の見返りは複利で殖える」とおっしゃいましたね。複利の利益を得ているかどうかは、どうやってわかるんですか?

複利はとても強力な概念だ。複利が働くのは資金だけじゃない。資本の複利効果はほんの入り口だ。

仕事上の関係の複利効果はとても重要だね。社会の上に立つ人たちを考えてみよう。たとえば、なぜ上場企業のCEO職や、数十億ドルの資産運用を任される人たちがいるんだろう?

それは、彼らが信用されているからだ。なぜ信用されているかといえば、これまで築いてきた人間関係や業績が複利化されているからだ。事業を続け、高潔な人となりを(目に見えるかたちで、かつ説明責任を果たしながら)示してきたからだ。

複利効果は評判にも働く。もし君に輝かしい評判があって、それを10年、20年と積み上げていけば、みんなが君に目を留めるだろう。才能豊かだが評判を複利化していない人に比べて、君は文字通り千倍、万倍の価値の評判を得るだろう。

仕事相手にもこれが当てはまる。君が誰かと5年、10年と仕事をしてきて、今も一緒に働くのが好きなら、当然君はその人を信頼していて、多少の欠点は気にしないだろう。

ふだんのビジネスの交渉は、お互いを信頼しているというだけでうまくいく――うまくいくという確信があるからだ。

たとえば私が仕事をするのが好きなシリコンバレーのエンジェル投資家に、イラッド・ギルという人がいてね。

私がイラッドと仕事をしたいのは、ディールをするときイラッドがいつも私にプラスアルファをつけようと手を尽くしてくれるのを知っているからだ。追加の配分があれば、私に有利に計らってくれる。支払うべき費用があれば、さっさと自分で負担して、それを私に知らせもしない。

こんなにも尽くしてくれるから、手持ちの案件は全部彼に任せている――どんなことにも絡んでもらっている。そして私も精一杯恩返しをする。こういう関係の複利化はとても貴重だ[※1]

大切なのは意図ではない、行動だ。だから倫理的であることは難しい。

君が「これは」ということを見つけ、「これは」という人を見つけたら、思いっきりそこに投資しよう。人間関係やお金に関しては、何十年も続けてこそ大きな見返りが得られるんだ。

だから、複利は本当に大切だ[※1]